行動する人は5%未満

自らの本心から生じる目的やビジョンを実現するために行動できている人は、世の中の5%程度ではないかと想像した上での法則です。(実際には下回るかもしれません。)

ある本では、『(情報を得た後に)行動する人は100人に1人』さらに『継続する人は100人に1人』と発信しています。イノベーター理論*では、即行動が約2.5%。求人サイトのアンケートで自己成長するために『転職する』が約5%。そして私が採用し時を共にした3000名以上の老若男女の中で、自分のビションや目標に向かって活動していたのは約1%ほど(私の知らない所で活動している人もいるでしょうから、目安として約2~5%ほど)。

イノベーター理論とは・・・
普及学とも言います。アメリカの社会学者エヴェレット・ロジャーズ(Everett M. Rogers, 1931.3.6〜2004.10.21)が提唱しました。新しい商品やサービスが市場に普及(流行)するにあたって、5つの層に分類しましたが、それがマーケティング戦略に活かされるようになりました。5層のうちの一つに“イノベーター”(=革新者)という即買いする客層が約2.5%ほどと言われています。他人の商品に対する評価などには影響されず、自身の感覚と判断で新たな商品やサービスを入手する方々です。つまり、主体的、自律的な決断力と行動力がある人のことと捉えても良さそうです。

5%:95%の法則

“行動できる人” と “行動できない人” の違いとは何でしょうか?

前記した各情報をもとに少数派(マイノリティー)である「5%の人の行動」にフォーカスして、目的実現のための思考習慣や行動習慣について考えてみました。

自論として、5%の人は「良質な顕在意識」で「良質な潜在意識」をコントロールしていることで「良質な行動」が生き方に反映されている、ということです。

顕在意識と潜在意識

「顕在意識と潜在意識」を耳にしたことがあると思います。

解 説

※顕在意識とは‥‥
 決意したり、判断したり、選択する心の領域であり、望ましいこと、望ましくないことを識別する能力を持っています。悩んだり、不安になったり、願望を持ったりします。

※潜在意識とは‥‥
 過去における考えや、心構えや、欲望の大きな貯蔵庫で、その数百万にのぼる整理棚には毎日の生活の中で、読んだこと、聴いたこと、観察したこと、受けた印象、考えたことが貯蔵されています。潜在意識は創造的な洞察力や、直観力の無限な宝庫です。

顕在意識と潜在意識については、心理学、脳科学、行動経済学などにおいて、とても重要なカテゴリーであることは理解できているものの、人の神秘的な部分でもあるため、概念、検証、解釈は様々です。
 さらにはこれらについて、“心” を主要カテゴリーに考えるか、“脳” を主要カテゴリーに考えるか、それだけでも解釈の違いは出てきます。そのため素人には各々の解釈の正誤判断はできません。ただ、自分なりの解釈、見解を示すことはできます。

これらはよく、下のような海に浮かぶ氷山のイラストで表現されます。

氷山の一角,顕在意識と潜在意識

顕在意識は氷山の一角

「氷山の一角」と事件などで語られることもある海面上の表象部分は、人(または人たち)の考え方や行動が表面化・具象化されているものです。
 海面下は、見えない・見ることができない人(または人たち)の内の存在そのもの、つまり ”内在“ と捉えています。『本性を現したな!』というセリフの “本性” が該当するかもしれません。
 さらに海面スレスレの部分は、波によって面から浮き出たり沈んだりする特殊なところですが、つまり人の言動の中で、本人も気づかないような稀に見え隠れする “内在” の一部分と言えます。『掴みどころが分からない』という相手や、集中力が途切れた時の放心状態の言動などが該当するかもしれません。

人の言動となる「氷山の一角」とする顕在的な表象部分は、社会(集団や組織など)の中で活動するために装飾されたものと考えられており、思い込みや個人の経験による癖や習慣的なもの、あるいは偽善行為や嘘をついていることなど、個々人で様々な装飾が施されています。
 他人に対しても同様ですが、自分自身に対しても、どれが本当の自分なのか、理解できなくなっているのが正直なところではないでしょうか。

ここで言えることは、顕在化されている言動が “事実” であることに間違いはなく、“事実” の言動によって “結果” が生じているということです。その “結果” の良し悪しは何を起因としているのか、このことを知る必要があります。

例えば目的を達成するために「行動できている人(Aとします。)」と「行動できていない人(Nとします。)」がいますが、本人たちは顕在意識で行なっているのか、潜在意識で行なっているのか‥‥確実に顕在意識での言動です。

それではAさんとNさんとでは何が違うのでしょうか? その区別する要素は何でしょうか? それが潜在意識の個人差によるものと考えられないでしょうか?

潜在意識が及ぼす顕在化された思考と行動、顕在意識と潜在意識の割合について、参考になるものがいつくか存在します。有名どころを紹介すると、

人は、日々の生活の中で、意識的に行動しているのは約1割。約9割は無意識的な行動であるということです。
(ジョゼフ・マーフィー博士の法則によるもの)

「人の脳の情報処理は、95%が潜在意識で処理されている。」
(A・K・プラディープ博士(米ニューロ・フォーカス社長)の著書による)


また、顕在意識的な部分は1〜3%、3%〜5%という他組織・団体もあります。割合の微妙な差はともかく、人が生活・活動する上で約5%の顕在意識と約95%の潜在意識によるものと捉えた時、AさんもNさんも潜在意識により実際の行動や仕事に反映されているため、生活そのものを大きく左右している、ということを何となく感じることができます。

意識が意識をコントロール

それでは、人は、自分の「顕在意識」と「潜在意識」をコントロール(制御)出来ないのでしょうか?

意識による意識のコントロール

コントロールすることが出来るのは「顕在意識」です。しかし容易ではありません。タバコやアルコール、ギャンブルなど『ヤメタイ!』と思っていても、行動に反映されていません。『今のままじゃダメだ。自分を変えなければ‥‥』と考えていても、具体的な行動には至っていません。

では顕在意識で「潜在意識」をコントロールできるのか、と言えばそれも難しいことです。それでもゼロではありません。直接というより間接的に。

「潜在意識」は簡潔に言うと、遺伝的・生得的な情報と体験上の情報、そして未知の情報(?)が入り交じっている領域とされています。
 遺伝的・生得的な情報というのは、例えば、胃が空っぽになると空腹になり音が鳴ったり、膀胱に尿が溜まったら排尿行為に動かしたり、好きな食べ物を見たら唾液が出てきたり、眠たくなったら居眠りしたり‥‥というようなことです。ただ意識的に“限界まで我慢する”という行為ができることも、事実です。

未知の情報(?)となるものは、学的な観点や、成功哲学的な観点、霊的(宗教的)な観点などで色々と言われていますが、その辺りは関心があれば是非調べて見てください。

潜在意識の中の体験上の情報

今回のポイントは、「潜在意識」的領域に存在する体験上の情報です。つまり人それぞれで違ってきます。生きてきた環境やプロセスは個別のことだからです。
 体験というのは、実体験、知識、見聞きしたこと、噂話、(睡眠中の)夢など、五感と思考、感情を通してインプットされた情報と理解してください。それも正しい情報としてではなく、人の脳で解釈(分解)された情報です。

行動できる人、行動できない人

ここで考えていきたいことの一つは、AさんとNさんの観点からです。

例えば、『毎日100段の階段(建物5~6階に相当)を歩いて上る行為を一年継続すると、一ヶ月分の食事摂取カロリー分を減らせる』という専門家のアドバイスを、ダイエットしたいAさんは実際に実行し、同じくダイエットしたいNさんは実行しない又は始めたが続かなかったとします。
 同じ人から同じアドバイスを受けたのに、AさんとNさんの行動に違いがあるのは、色々な要因が影響しているかもしれません。
 もしかしてNさんはこれまでの経験で、大変なことはしたくない、やっても無駄、他にもっと楽な方法がある、と考えたかもしれません。あるいは始めてみたものの、今日は時間ないから明日やろう、今日は体調よくないから治ったらやろう、やっぱり疲れた、他にも方法はあるし、と考えてしまい、長続きしなかったかもしれません。
 Aさんは、階段を使うからもう少し早目に出勤しよう、健康に良さそうだからいいね、足腰にもいいかも、エレベーターの密室で風邪うつされないからいいね、と視点を変えて臨んでいるかもしれません。

アドバイスはキッカケですが、行動するしないの差は「潜在意識」の影響が大きいことは否定できません。

前記した『「良質な顕在意識」で「良質な潜在意識」をコントロールする』ということを、Aさんは実践し、Nさんは行なわない、私はそのように考えています。
 わかりやすく言うと、「普段から良い意識で行動することで、潜在意識は変わっていく」ということ。体験上の情報を植え付ける際、自分にとって良い情報をどれだけ多くインプットするのか、重要な鍵になるはずです。

例えば、食事の後に歯みがきをする人、しない人。食べる時に、少し噛んで飲み込む人、かなりの数の咀嚼後に飲み込む人。外出先から室内に戻って手洗いやうがいをする人、しない人。トイレで用を済ませた後、手を洗う人、洗わない人。寝る時に、電気をつけたまま寝る人、真っ暗で寝る人。
 これらは生活レベルにおける「習慣」的な行動に該当します。これだけでも人の意識的な行動は違いますし、それは全て体験上のものです。それは、知識と家庭教育の中で意識からスタートした行動が習慣化された意識的な行為になっています。

知識という部分で考えてみると、
例えば、パソコンを使ったことのない人にとっての難しい機械操作は、知識を得て普段から使っている人にとっては、簡単な操作です。初めて触った時は、取扱い説明書や知っている人から教わりながら意識的に操作し、慣れてしまえば、簡単な操作などはそれほど意識することなく、操作ができるまでになります。タッチタイピング(キーを見ずに入力すること)も同様です。
 知識においても、顕在意識から潜在意識へと情報が蓄積されていきます。それは、知識を行動することで脳に焼き付けている状態です。認知学的にも、短期記憶から長期記憶への情報の移行は証明されています。
 生活における95%の潜在意識的な行動の一部分は、「習慣化」された行動であるということです。思考や感情も同じように「習慣化」されます。

例えば、会社で嫌いな人がいるとします。
 その嫌いな人から何かを頼まれた場合、「(忙しいから)無理!」と断ります。それも反応的に。例えば、子供が騒ぎ始めると、「うるさい!」と怒鳴る親がいます。騒ぐ⇒怒鳴るが連動している反応的な感情で、怒鳴ることで簡単に解決しようという思考になっています。短気な人は、感情で解決しようとする(情動的)行動です。

「時間が無いから(忙しいから)・・・」
 「私には分からないから(知識がないから)・・・」
 「面倒くさいから・・・」
 「経験がないから・・・」
などを理由にして行動しないことも、潜在意識的な習慣であり、先延ばしする癖のある方も、ゴミ屋敷的な部屋に住んでいる人も、全てが習慣化された行動による結果です。

これらは体験上による「潜在意識」の領域と考えてよいのではないでしょうか。
 潜在意識による行動は「習慣」「顕在意識」的に行なわれていたものが、「潜在意識」の領域に「習慣」というカタチで蓄積され、それが生活の中での行動となっていることが多いということです。
 つまり、「顕在意識」によって「潜在意識」をコントロールすることは、「習慣化」することでコントロールすることができるということです。

行動できる人の習慣化

「潜在意識」による行動を「顕在意識」でコントロールすることは可能です。しかし、その行動が顕在化された時点でのコントロールであり、「潜在意識」的領域に対するコントロールではありません。同様の行動が再び生じる可能性は、かなり高い確率です。

喫煙者の禁煙する大変さ、ダイエットしたいのに食べてしまう大変さ、二度寝を止めたい大変さ、毎日の深酒を止めたい大変さ‥‥「習慣化」された行動を、新たな行動にするためには、「顕在意識」的な行動を、「潜在意識」的になるまで続けるしかないのです。

その時の「顕在意識」的な行動は、良質であることが望まれます。「良質な顕在意識」で「良質な潜在意識」をコントロールするのです。
「悪質な顕在意識」が「潜在意識」をコントロールするとどうなるか‥‥悪質な結果になることは疑いの余地もありません。(※悪質な潜在意識は論外です。)

社会も同様です。どんなに多数派が立派な集団だったとしても、悪質な少数派にコントロールされれば、悪質な結果を招きます。その結果に対して、多数派の多くは少数派に対する批判をします。責任転嫁です。悪質な多数派は、良質な少数派に悪影響、または討伐します。

個人でも当てはまります。悪質な意識の中でコントロールされることにより、その結果に良いことはありませんから、いつしか「自己嫌悪」「自己否定」「自信喪失」「自己暴虐」などに陥ります。

「良質な顕在意識」で「良質な潜在意識」をコントロールしているということは、「良質な顕在意識」をもって「良質な行動」を継続し、「良質の潜在意識」で「良質な習慣」が日々の生活を楽しませてくれます。

これが「5%の人の行動」なのです。