「自分自身=私」は誰?

ビジネス・仕事において、「私(個人も会社も同様)」のことについて、どれだけのことを理解しているのか、重要なことです。

「私」のことを知らないことで損をしている可能性もあります。

「私」‥‥いわゆる自分自身は何者なのか?

これを考える時に、一般的な「自己分析」では物足りないような気もします。

主観的な「私」、客観的な「私」があって、「私」というものを深く知っていくことになります。4次元的に捉えることも必要になってくるでしょう。

4視点の「私」

ジョハリの窓」をご存知の方もいるでしょう。

ジョハリの窓
ジョハリの窓のイメージ図

ここでは「ジョハリの窓」として解説するつもりはなく、単なる「私(自分)を知る」という観点で見て下さい。

【参考】ジョハリの窓(Wikipediaより参照)

心理学者ジョセフ・ルフト (Joseph Luft) とハリー・インガム (Harry Ingham) が発表した「対人関係における気づきのグラフモデル」のことを言います。
自分をどのように公開ないし隠蔽するかという、コミュニケーションにおける自己の公開とコミュニケーションの円滑な進め方を考えるために提案されたモデルであるとされています。
自己には「公開された自己」(open self) と「隠された自己」(hidden self) があると共に、「自分は気がついていないものの、他人からは見られている自己」(blind self) や「誰からもまだ知られていない自己」(unknown self) もある、というものです。

「ジョハリの窓」は対人関係における「自己」の認知度感が強いのですが、ここでの説明はどちらかと言えば、社会哲学者G.H.ミードの「社会的自我」に近いのかもしれません。

【参考】社会的自我(social self)

社会学者G.H.ミードによると、自我は社会的相互作用(自分と他者の相互関係)の中で形成されるとしております。
彼は、自我をI(アイ・主観的自我)とMe(ミー・客観的自我)に区分。他者や、社会全体の役割や態度を取得した自我をMeと呼び、その一方でMeに同調したり批判する自我をIと呼びます。このIとMeの相互作用(構成的、反省的、問題解決的な思考=内なる会話=精神)を通じて自我は発達するとしています。

先ほどの図でイメージすると、“私A” は「自我」で、“私B” と “私C” は「自己」や「社会的自我」になります。
 “私D” は未知の私ですが、本質的なものが隠れていることも‥‥。

ビジネスの立場の「私」を見つける

これまでの「私」を知る他者は、限られていたことでしょう。
 例えば、家族や親戚、友人知人、会社の同僚、近所の人、学校の先生など。

ビジネスというカテゴリーが加わると、新たな他者が生じてきます。つまり「お客さん」です。普段の生活とは関わりのなかった「お客さん」となる社会的他者の存在が加算されます。

イメージとしてみると

ジョハリの窓とアイデンティティ
ジョハリの窓とアイデンティティ

限られてきた他者からの私に対する認知がビジネスによって「認知世界」が広がることによって、「社会的自我」も変化せざるを得ません。

「自我」と「自己」の兼ね合いの中で、自身なりのイメージで「私」になります。

これを総称して「アイデンティティ」と呼んでいます。

ビジネスにおける自己アイデンティティ

「アイデンティティ」は他者にアピールするというものではなく、「自分自身に対して、私は何者なのか?」をその時その場面において説明できるものと捉えていきます。

そういう意味では、生きていく中途で変化していくもの、周囲に影響されるもの、流動的なもの、と言えます。

そこには、外的な要因以外にも、自身の内発的な個性、信念、価値観などが年代毎、経験や知識の蓄積などにより変化、進化していく要因もあります。

アイデンティティとは?

アイデンティティとは、「同一性(内在性)」という意味です。

本来、エゴ・アイデンティティ(自我同一性)と、セルフ・アイデンティティ(自己同一性)があるのですが、エゴ・アイデンティティを、アイデンティティと呼び、セルフ・アイデンティティを、パーソナリティと呼ぶ方もいます。

私は、両方の内在化により、一つの「アイデンティティ」になると考えています。その定義として、

定義

『アイデンティティ』とは、
人が時や場面を越えて一個の人格として存在し、自己を自己として確信する自我の統一を持っていること

アイデンティティの詳細は別ページ>>

ここでは、要点で伝えていきます。
下図を見て頂くと、どの年代においても「自分は自分である」ということです。
その時その時の「自分は何者なのか?」という答えは違うはずです。

その瞬間においては「一個の人格として存在」しています。

アイデンティティは年齢などで変化するが自分は自分である

経験値や知識は、年齢を負う毎に増えていきますし、それにより、自分のできること苦手なことも増えてきます。

そして何より、人間関係、社会との関わり方も変化します。
 そんな中で、自分の社会の中でのあり方や役目等も変化していますので、「自己」(客観的な自分、あるいは社会的自我)という概念も変化します。
 極端な例で言うと、会社勤めで新入社員時と、40歳代くらいの役職付き社員ですと、「自己」が大きく違うはずです。
 あるいは、独身の時と、結婚して子供が出来た後とは、「自己」は違います。サラリーマン時代と、独立後の「自己」も違うでしょう。

簡単に言えば、私=自己に対する他者(周囲)の目線が違うわけですから、その時の「自己」を受け入れた時に、認知していた自我と統一、共有、調和などすることで、自我が変化するというより新たな社会的自我の形成というべきでしょう。

それらは「アイデンティティ」です。「アイデンティティ」は常に変化、変動するということです。

ビジネスにおける「アイデンティティ」

「アイデンティティ」は、「自分自身が何者なのか?」ということを、自分自身に対して説明できる状態です。
 つまり、社会に対して、特にビジネスにおいて、

「自分は何が出来るのか?」
 「自分の社会的使命は何なのか?」
 「自分に求められているのは何なのか?」
 ‥‥等々

それが確定しているものとして、コミット(公約)することができるのです。

「私は誰?」の分析が出来ていることと、出来ていないとでは、大きく変わってくるということがお分かり頂けると思います。

前回の「ケイパビリティ」の抽出を行なう際も、この自己の分析(自分リサーチ)ということを行なってからになります。

この “私” の分析は短時間では無理でしょう。特に、「自分のことが分からない」と思っている人も数多くいます。何日もかけて分析しましょう。

この分析の時に厄介なのが、思い込み(既成概念)です。

その思い込みについては別途お話ししていきますが、ここでの分析は、とにかくネガティブな自分も含めて全て出してきり、受け入れていった方がいいです。

好きなこと等は当然なのですが、嫌なもの、怖いもの、悲しいことなど、自分に関することは全て出し切った後に、不要な思い込み、感情などを整理していきます。

その方法の一つに「ブレインダンプ」という方法もあります。
「メンタルブロックの外し方」などもあります。
そうすることで、「アイデンティティ」の形成がスムーズに進みます。

勿論、いい方向にです。

人間はすべて例外なく、
自分が気付いている以上の大きな力を持っている。
by. エドガー・ケイシー [予言者・心霊診断者]

次に、ビジネスの対象となる「誰に」の「誰」とは誰なのか? を考えていきます。

その前に「ニーズ」「ウォンツ」を理解しましょう。

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