プロダクト企画(5)価格戦略と応用

「プロダクト企画」について4回に分けてお話ししましたが、それらを基本ベースとして製品ラインに関する立案を行ないますので、今回プロダクトの価格戦略と応用編をお話しをします。

プロダクト企画(4)価格設定(プライシング)にて価格設定の基本的な方法をお話ししましたが、今回は、実質的かつ効果的な価格戦略(価格政策)についてです。

 

価格戦略,プライシング,マーケティング戦略,商品戦略

 

ビジネスを行なう際に、プロダクトを単品だけで長〜く継続することは困難であると考えられます。(例外もあるでしょうが)
複数のプロダクト、複数のプランを考え、基本的価格設定法をさらに戦略的に応用していくことで、より効果的な展開になると思われます。

 

プロダクト価格戦略

複数のプロダクトがある前提での価格戦略になりますが、今はない状態でも、徐々に増やしていくことをおススメします。ただし、主(メイン)のプロダクトを確立しておくことと、ビジネス目的に一貫性があることです。

これは無形のサービス業であっても、顧客に価値を提供するということには変わりないので、そのサービスに関する付加価値を勘案していくことになるでしょう。

 

フリー戦略型

フリーミアム

フリー戦略とも言われています。無料サンプルや無料モニターなどの無料のプロダクトから集客し、そこから有料のプロダクトを紹介していく戦略です。例えば、スマートフォンなどの無料ゲームアプリで楽しませた後、物足りなさを感じお客さんに有料版で楽しんでもらったり、化粧品やサプリメントの無料サンプルを配布し、有料の本製品を買ってもらったりする方法です。無料であることでハードルを下げ、潜在的な消費者との繋がりを増やし、その効果を認識してもらうことで購入に至るパターンです。通販の無料カタログを配布し購入させる、無料情報を提供しつつ有料メルマガに登録してもらうことなども同様です。

内部相互補助

内部で「これで損しても、あれで得を得る」ような戦略になります。
ロスリーダー」・・・目玉商品を準備し、集客する戦略です。目玉商品(ロスリーダー)で収益を得るのではなく、集客することで他のプロダクトを購入してもらい、他で収益を得る方法になります。例えば、スーパーで卵1パックを超格安(仕入原価など)にして集客し、ついでに他商品を購入してもらうパターンです。高級ホテルにて限定的に格安宿泊をアピールし、レストランやレジャー施設で収益を得るなども同様です。目玉商品(ロスリーダー)は、何でもいいわけではなく、ブランド力があり、誰もが欲しがるようなもので、かつ競合の多いプロダクトが効果的です。売れ残ったようなプロダクトを目玉商品にしても効果は薄いでしょう。
EDLP」・・・EveryDay Low Priceで、「毎日が安売り」という戦略です。格安ビジネスになります。いつでも誰でも格安である状態です。広告宣伝などする必要のない業態です。チェーン店の牛丼屋や回転寿し、100円ショップなどもそのタイプです。コストコやニトリも同様だと言えます。ローコスト・オペレーションが必要になりますので、個人経営者には厳しい戦略でもあります。

三者間市場(市場の二面性)※ツーサイド・プラットフォーム

片方が有料(または高価格)で、片方が無料(低価格)という、二者の中間役とする方法です。例えば、テレビを無料で視聴できる庶民と、企業から広告料をもらって宣伝映像を流す放送局などが該当します。近年のインターネットビジネスでは、広告費を広告主から受取り、ホームページなどに掲載して庶民に無料で閲覧してもらうパターンがあります。無料サービスを提供する際、別のところから収益を得る方法です。

 

抱き合わせ戦略型

キャプティブ戦略

主製品を格安価格で販売し、その付属品・消耗品・アフター(メンテナンス)などで継続的な売上を獲得する戦略です。キャプティブとは、虜(とりこ)という意味があり、そのごとく顧客を抱え込んでしまう方法で、一見客(一度きりの客)ではなくリピーター客(継続客)を獲得する有効的な戦略でもあります。LTV(ライフタイムバリュー)=顧客生涯価値、いわゆる売上・利益に貢献してもらえる顧客であるために、それ以上の価値を提供し続ける姿勢が重要になってきます。事例として、プリンターを安く売ってインクや用紙で利益を得る、コピー複合機を格安で売って消耗品やメンテナンスで利益を得る、携帯電話機を安く売って通信料で利益を得る・・・などが該当します。

クロス・セル

セット(組合せ)販売で、割安感・お得感をアピールする時に活用する戦略です。テレビショッピングではよくありますが、「これもあれもつけてこの価格!」という方法です。レストランでも料理に飲料を付けると安くなるとか、紳士服でスーツに靴やシャツなどを付けると安くなる、その他、旅行ツアーや建売り住宅なども該当します。この場合、主商品と関係性のある場合が殆どで、関連性のないセット販売は避けた方がいいでしょう。

 

プライス・ライニング戦略型

段階価格戦略で、価格帯(価格ライン)を低・中・高のように各カテゴリーのプロダクトを準備し、消費者の属性・購買格差(セグメント)に応じてアピール、選択させるような方法です。例えば、紳士服店での1万円代、3万円代、5万円代でスーツのグレードごとに分類していたり、結婚式の引き出物などに使われるギフトカタログの3,000円、5,000円、10,000円のコースに合わせて商品を集めてカタログにする方法も同様の考え方です。

ハイ・ロー・プライシング(H-LP)

ハイ&ロー(高低)の両価格のプロダクトを準備し、アピールする方法です。例えば、通常のプロダクトとは別に、”プレミアム”度を付けたお菓子やビールなどを販売することが該当します。

松竹梅戦略

松(高価格)・竹(中価格)・梅(低価格)の3種類のプロダクトを準備し、高低差でアピールする方法です。人が選択する際、中間を選択しやすい傾向がある、という心理学的行動(極端の回避性)を踏まえての戦略でもあります。鰻屋さんやお寿司屋さんには昔から松竹梅コースがありますし、レストランでもディナーコースなどで3種の価格帯になっていたりもします。松竹梅戦略による売買割合は、目安として松2竹5梅3(または松3竹5梅2)らしく、主(メイン)となるプロダクトを「竹」にする場合が多いようです。

 

アップ・セル

アップグレード(上位商品)をアピールする戦略です。求めているプロダクトに対して、「プラスいくらで、この機能が付きます!」という方法です。例えば、パソコンショップでパソコンを購入する際、「プラスいくらで、オフィス(エクセルやワード)が付く」であるとか、損害保険の「プラスいくらで、補償額が増える」なども該当します。

ダウン・セル

ダウングレード(下位商品)を勧めたり、値引きしたりすることで、顧客を逃がさない(売上を減らさない)戦略です。興味をもつプロダクトが高く購入に至らないような顧客に対して、「こちらなら如何でしょうか!?」と少し安めのプロダクトや価格を勧める方法です。例えば、パソコン購入の際、1シーズン前のパソコンやスペックを落としたパソコンなどを勧めるなどがそうです。

 

業界、業態に適した戦略、プロダクトの数や価値などを踏まえた方法を模索し、実際に市場に出しながらの結果をもとに、良い戦略を探求してください。

 

顧客関係ファネルとプロダクト価格設定

 

ビジネスを継続する上で、顧客の関係性は重要なサクセスファクターになります。

その顧客関係を表現したものが、下図のファネルです。

※ファネルとは”漏斗”の意で、間口が広く、下が細いことの表現です。

上部は関係性に乏しい客が多く、下部になればなるほど客数は減りますが関係性が深まります。

 

顧客関係ファネル,価格設定プライシング,マーケティング

 

このファネルは、法人・個人のビジネス関係なく、どの業界でも当てはまるのですが、LTV(ライフタイムバリュー)=顧客生涯価値につながるものです。

ターゲット客に合わせてプロモーション的に捉えつつ、複数のプロダクトを考えることになります。(製品ライン戦略)

(上図のファネルは、フリー戦略を例として説明しています。)

「バックエンド」のプロダクトが主(メイン)であり、そこに顧客(買い手)が辿り着いてもらえるためにも、無料や格安のモノ、目玉商品(ロスリーダー)となる「フロントエンド」のプロダクトを準備します。

「フロントエンド」を買い手(消費者)が手にすることで、始めて顧客関係としてつながることができます。

 

「バックエンド」を買い手が手にする人数割合というのは様々ですが、「バックエンド」まで関係性を築くためのプロセスを計画し、プロダクトの準備と価値設定を試行錯誤しながら行なっていきます。

※「ミドルエンド」は、「バックエンド」に辿り着かせるために関係性を深める目的と顧客を絞り込む目的がある場合、有効です。

 

基本的な考えとして、「バックエンド」で収益(利益)を獲得するような戦略です。

「フロントエンド」でも収益を得ようと考える場合、すでに市場におけるブランド力・知名度などがある状況であれば、プライス・ライニング戦略などによって可能だと思われます。

 

上図のファネルは一つの例(フリー戦略)ですが、常にビジネスを継続していくためのプロダクト策定と価格設定は、市場の変化や時流に合わせて、日々行なっていくことになりますので、プランニング(企画)を怠ることなく、挑戦していくべきだと私は思います。