マイキャリア・デザイン

「もっとキャリアを磨きなさい!」・・・と助言してくれる人たちがいるのは当然ですが、問題はその磨き方です。

闇雲にキャリアを増やせばいいというわけではありません。資格をむやみに取得すれば良いということでもありません。そして何より、“他の人と同じ”である必要はありません

有限である人生の中で、「何をやりたいのか?」「何ができるのか?」「何故やりたいのか?」「どのようにやるのか?」「いつまでにやりたいのか?」などを模索しながら、“なりたい自分”を目指し(あるいは探し)、自らの人生を演出していく時間を楽しむことが必要と感じています

人生とは自分を見つけることではない。
 人生とは自分を創ることである。
Life isn’t about finding yourself. Life is about creating yourself.

ノーベル文学賞受賞者のジョージ・バーナード・ショーのコトバは、ヒントになります。

キャリア・デザインとは何か?

ここでは「キャリア・デザイン」(career design)という考え方について、触れていきます。

世間で言うところの「キャリア・デザイン」の意味は、(何となく)2つに大分類されている感が伺えます。広義的か狭義的か、専門的か網羅的か、なのかもしれません。組織の中の個人、または人生のうちの職業、かもしれません。

当方の考える「キャリア・デザイン」は、職業(生活費を稼ぐ手段)を主とするそれではなく、個人の使命(役割)・自己の価値を主軸にした人生設計的なことです。

と言えども、多様的に捉えれば「キャリア・デザイン」は個人が取り組みやすく、受け入れやすい方法、タイミングでいいのでしょう。中には「キャリア・デザイン」の考え方が受け入れられない人もいる、という現実があるため、個人の生き方とあり方を踏まえながら、「キャリア・デザイン」について、考えていきたいと思います。

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(画像:pinclipart.comより)

キャリア・デザインの定義を調査

先ずは、下記前半の各説明を(一例として)やんわりと拝見。

※「キャリアデザイン」(career design)とは・・・

組織化された計画と自らの職業的キャリアの積極的な経営選択の組み合わせのことである。

(出所:Wikipediaより)

『組織』『職業的キャリア』が主のようです。

※「キャリアデザイン」とは・・・

自分の職業人生を自らの手で主体的に構想・設計=デザインすることです。自分の経験やスキル、性格、ライフスタイルなどを考慮した上で、実際の労働市場の状況なども勘案しながら、仕事を通じて実現したい将来像やそれに近づくプロセスを明確にすることが、キャリアデザインの要諦です。

(出所:日本の人事部より)

※「キャリアデザイン」とは・・・

将来のなりたい姿やありたい自分を実現するために、自分の職業人生を主体的に設計し、実現していくことです。
単に職歴を決めるのではなく、価値観やライフスタイルまで含め、自分らしく働くためにどのような職業を選択するのかを決めること。

(出所:カオナビ人事用語集より)

※「キャリア・デザイン」とは・・・

「キャリア」とは、単なる職歴・経歴だけではなく、仕事への憧れやこだわり、その仕事を通じて実現できる生活水準などを含んだ、生涯にわたるライフスタイルのプロセスを指す。どういうプロセスを描き、何を実現したいかを明確にするのがキャリア・デザインの役割となる

(出所:グロービス経営大学院より)

『職業人生』『仕事、働くこと』が強調されています。

では、次の各説明を確認してみましょう。

※「キャリアデザイン」について・・・

人が生涯にわたってたどる生の軌跡のすべてが「キャリア」だと考えています。そして、一人ひとりにとってかけがえのない人生=キャリアを主体的に「デザイン」(設計・再設計)していくこと、これが「キャリアデザイン」なのです。

(出所:法政大学キャリアデザイン学部より)

※「キャリアデザイン」とは・・・

「どんな仕事をしたいか」「どのような働き方や家庭生活を送りたいか」といった人生の理想を描き、理想の実現に向けた計画を設計することを意味します。

(出所:mitsucariより)

この2つは『人生』が主体のようです。

前記も後記も共通する点と言えば、目指すところ(理想、目標など)に向かって個人が主体的に設計(デザイン)すること、と言えます。

As is! Can be! To be!

アズイズとトゥービー
as is – to beのイメージ図

目指す地点が“To be”、現在地点が“As is”。

「キャリアデザイン」とは、人生における両地点を把握した上で、To beにたどり着くための準備と方法などを明瞭にし、具体的な行動スケジュール(プロセス)などを設定していくこと、と考えることができます。

この“To be”になるところを「キャリアビジョン(=理想像)」と呼びます。

『キャリアビジョンがない』という方も多数いるようですが、そのような方々も含めて「キャリアデザイン」の考え方は必要になってきます。

 そこで、“To be”がまだ明瞭(濃霧で先が見えていない状態)でなくても、“Can be”(イメージつきやすく、たどり着くことが可能な地点)を模索して行動することも方法の一つ、と考え、“As is − Can be − To be”のプロセスを勧めています。

Can be”をわかりやすく言えば、「為せば成る」目標地点です

キャリア・デザインの考え方

昨今、国家資格であるキャリアコンサルタントやキャリアカウンセラーと言われる方々が増えてきました。理由は国家戦略の一つに個人のキャリアアップ(キャリア開発など)に対するバックアップを強化している背景もあるからです。
 キャリアコンサルタントやキャリアカウンセラーは、自身の強みを活かした仕事の選択や向き合い方などの“自分に合った職業選択”のプランニング・アドバイザーであったりもします。
 その方々の「キャリアデザイン」に関する活動傾向を観察すると‥‥

組織に属する方、または組織へ提案営業する方は「組織の中の個人」、つまり組織視点
 フリーランス系の方、または個人へ提案する方は「人生を歩む個人」、つまり個人視点
個人のバックグラウンドや思考特性などに合わせて、提案や活動をしています。

組織視点と個人視点

組織視点のキャリア・デザイン

日本の伝統的・慣習的なバックグラウンドを変革できないために、会社組織的なキャリアデザインの位置づけは、“職業人生”というより“組織人生”です。

終身雇用制の崩壊とも騒がれてきましたが、今も尚、一つの会社組織に定年まで在籍する方が多いはずです。高齢化と労働人口の減少は雇用する側にとって人材確保に苦労する反面、優秀な人材ほどポジティブな転職や起業で会社組織を離れていきます。
 いかに組織の魅力要素を増やし、離職者を減らすと同時に、今いる従業員のキャリアアップ(レベルアップ)を図る必要が出てきました。従来の役職別人材育成プログラムの延長線上でもありますが、「キャリアデザイン」の意義を伝えつつ、決められたフレームワークで個人に考えさせるよう、努めている様相は伺えます。

つまり、組織のための人材育成の色合いは強く、キャリアパスやキャリア開発プロセスあっての「キャリアデザイン」であることは致し方ありません。(必然ですから)

組織主導の「キャリアデザイン」は、組織に適した人材の育成(キャリア形成)になる現実があります。一組織の中での「キャリアデザイン」は狭義的で、個人の成長を停滞させ、潜在的な能力を開花させずに潰す恐れも介在しています。

社員全員の“なりたい自分”に合わせていたら、組織内は収拾がつかず混乱が生じてしまうでしょう。
 例えば、同年新卒さんたちが「将来取締役になりたい!」と願っても、希望する皆がなれることは‥‥。
 結局、組織内での“調整”が入り、個人の「キャリアデザイン」を制限することになるわけです。

『理想と現実は違うんだよ。現実を見ろ! 現実を受け入れろ!』

という上司マインドを埋め込む会社組織があるのは致し方ありません。

確かに『理想と現実』とのギャップについて気づいてもらう必要はありますが、キャリアデザインは他人から押し付けっぽく決められることではなく、自分で理解し、考えて、決めていくものです。

“理想の自分”(なりたい自分、ありたい姿)があってのキャリアデザインですから、“理想”のセッティングに対する周囲からの刺激は、慎重を期します。

個人視点のキャリア・デザイン

「キャリアデザイン」をする上で大切なのは、個人が主体(=主人公)であり、組織は客体(=舞台、環境)であることが前提です。つまり、将来の目標はもとより、個人が組織や職業を選択する権利を有していることを受容した上で、個人の自由な「キャリアデザイン」をサポートするのが、組織であり社会であると考えています。

そして個人は、組織や社会の中で、組織や社会を活用して、組織や社会と協力して、自らの「キャリアデザイン」を具現化していきます。組織や社会に依存するのではなく、自らの望む人生を歩むための主体的な選択と決断を繰り返していきます。

進学、留学、就職、出世、転職、転向、起業、ボランティア、結婚、出産、海外転居、定年、再雇用など人生の転機は様々です。その機会の岐路で選択し決断するのは個人ですが、方向性の選択・決断する際に、環境の選択も大事であることを忘れてはならないと考えます。

自らの「キャリアビジョン(理想像)」に近づくために環境を変えることは、一つの手段です。転職であったり起業であったり、国内から海外へ生活拠点を移したりすることもあるでしょう。
 “なりたい自分、ありたい姿”が明確である場合はその決断はスピーディーかもしれません。“なりたい自分、ありたい姿”がボンヤリとしている場合の決断はゆっくりかもしれません。それでも「キャリアビジョン(理想像)」に少しずつ近づくことが、「キャリアデザイン」の良いところです。

“デザイン”ですから、個人ごとのオリジナリティがあっていいわけです。そこには個人の価値観や信念、ビジョン、嗜好性や思考特性なども大きく関わってきます。
 経験や加齢、健康状態、環境などの変化によって価値観や嗜好性などが変わることもありますから、人生設計と言えども途中変更は可能です。つまり、キャリアデザインを堅苦しく、完璧を求めて行う必要はなく、ワクワク感を大切にしながらデザインしていけば良いのではないでしょうか。

キャリアをコーディネートする」と伝えたほうが、楽しさが伝わるかもしれません。

キャリア・デザインはオンリーワン!

例えば、自分自身の中に書斎のような領域があるとします。
 そこへキャリア(知識、経験、スキルなど全て)という本や道具などをどのようにレイアウトするのか・・・

書斎本棚

・デスクや本棚などはどうしようか?
 ・それらのレイアウトはどうしようか?
 ・好みのインテリアはどんなものか?
 ・本棚の機能性は何を優先しようか?
 ・本棚には何を収めようか?
 ・本は何を読もうか? どこで入手しようか?
 ・本はどのような並べようか?(カテゴリー別?年代別?背帯の色?)
 ・・・・・・・・・・?

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専門書ばかり集める方もいるでしょう。本ではなく、DVDやCDなどのメディアを収める人もいるでしょう。自分で作った作品をレイアウトする人もいるでしょう。中には殆どをデジタル化して本棚を置かない人もいるかもしれません。本棚ではなく収納用ガラスケースを選ぶ人もいるかもしれません。

このように自身のキャリアを収める書斎は、自由に楽しくコーディネートすることができます。
 時が経てば本や道具は増えてきます。欲しくなるものも現れます。嗜好が途中で変わることで、コーディネートも変わっていくでしょう。それに古くなったもので使わないものも出てきますから、断捨離®も行うはずです。
(*断捨離®️は、やましたひでこ氏の商標登録です)

「マイキャリア・デザイン」は個人の自由発想であり、オンリーワンなのです。

マイキャリア・デザインはどこへ向かう?

「なぜ働くのか?」
 「どう働くのか?」
 「誰と働くのか?」

自問自答した時に、何かを見出だせる状態になるまで、真剣に考えてみる必要がある、そんな時機(チャンス)なかもしれません。

キャリアデザインを生活の一環として取り組んだ時、多いパターンとしては “(会社勤めでの)仕事” を主軸とした「ライフワークバランス」的な考え方です。

仕事とそれ以外を切り分ける「仕事のあり方を考える」のではなく、仕事は生活と共鳴している「生活・生き方そのものを考える」と、私は捉えています。いわゆる『ワークインライフ』、もしくは筑波大学教授の落合陽一氏が提唱した『ワークアズライフ』に紐づくパターンです。

「なりたい自分」「自分らしい生き方」…人生のビジョン、目的、目標などと自らの備え持つキャリアを照らし合わせながら、達成するために必要なキャリアが何かを考察し、キャリアを強化し、時には不足分なキャリアは新しく身に付けたり、弱いもので重要なキャリアは磨いたりしていくのです。それを自分なりに分析し、計画し、実行していくことが個人オリジナルの「キャリア・デザイン」と言えます

キャリア・デザインは自己超越のため?

大学の授業にもある「仕事(就業)のため」のキャリア形成を目的とすることは別にして、「自己実現」的職業キャリアをメインとして勧める、キャリアコンサルタントやキャリアカウンセラーがいることも少なくありません。

キャリアデザインは「自己実現」のためであることが一般的と言えます。
 オンリーワンである「キャリアビジョン(理想像)」そのものが自身の欲求・願望であり、活力となるはずです。それを実現するために、活動していきます。

ただ、注視する点があります。

この「自己実現」という捉え方が稀に、「エゴ実現」的になる傾向(最悪、詐欺師など)もあったり、「自己実現」したことでその先が見えなくなってしまうこともあったりします。
 例えば、『金持ちになる!』『贅沢な暮らしをする!』『美男美女に囲まれる生活を送る!』『投資家になって遊んで暮らす!』など自己満足的な「自己実現」は、(悪いとは言いませんが)勧めていません。
「自己実現」が自己満足のためのものではなく、他者、社会に役立つ、貢献できるものにしなくてはならないということを念頭におく必要があります。

「自己実現」の意味付けを具体化するヒントとして、心理学者アブラハム・マズロー氏の『自己実現理論』を知っておくのも良いかもしれません。

<参 考>
5つの欲求全てを満たした「自己実現者」には、以下の15の特徴が見られる。

1.現実をより有効に知覚し、より快適な関係を保つ
2.自己、他者、自然に対する受容
3.自発性、素朴さ、自然さ
4.課題中心的
5.プライバシーの欲求からの超越
6.文化と環境からの独立、能動的人間、自律性
7.認識が絶えず新鮮である
8.至高なものに触れる神秘的体験がある
9.共同社会感情
10.対人関係において心が広くて深い
11.民主主義的な性格構造
12.手段と目的、善悪の判断の区別
13.哲学的で悪意のないユーモアセンス
14.創造性
15.文化に組み込まれることに対する抵抗、文化の超越

(出所:Wikipediaより)

マズロー氏が晩年、欲求階層理論の「自己実現」の欲求のさらに高次として「自己超越」を付加したことを考えると、「自己実現」より先の「自己超越」的な目的をもった「キャリア・デザイン」を目指すことが必要なのかもしれません。

<参 考>
自己超越者の特徴は、

1.「在ること」(Being)の世界について、よく知っている
2.「在ること」(Being)のレベルにおいて生きている
3.統合された意識を持つ
4.落ち着いていて、瞑想的な認知をする
5.深い洞察を得た経験が、今までにある
6.他者の不幸に罪悪感を抱く
7.創造的である
8.謙虚である
9.聡明である
10.多視点的な思考ができる
11.外見は普通である(very normal on the outside)

(出所:Wikipediaより)

デザインする「キャリア」は自己実現、あるいは他人の欲求を満たすだけのそれではなく、これからの時代に必要とされる共創社会」のためのキャリアである、と考えています。

アドラー心理学でいう「共同体」への意識になるのですが、組織の一員というのは、ほんの一部であって、もっと大きな世界観のある「共同体の一部」という概念が必要になってきます。
 コヴィー氏の「7つの習慣」にある「相互依存状態」も同様であると捉えています。

つまり、「マイキャリア・デザイン」をもとに人生を創り上げていくことは、社会の中の個人として、社会との共生へと同時に進めていくことができると考えることができます。

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キャリア・デザイン」は自分の意志であり、今からでも始められるものなのです。

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