ビジョン達成のためのパーソナル・ケイパビリティ

パーソナル・ケイパビリティ」とは自己の総合的な実現可能力 になります。

日本では「ケイパビリティ」を会社組織主体として語ることが多いのですが、ここでは個人主体での内容として、会社組織と区別するために「パーソナル・ケイパビリティ」と呼んでいます。
 自身の持つ目標やゴール、ビションの達成、目的や使命を果たすことなど、「自己実現欲求」を戦略的かつ継続的に叶える複合的な能力です。

人それぞれの生き方、仕事の業種、社会での役割、家庭環境、生活環境などがありますから、総合的に考えて実現可能力は他者と一致するはずがありません。
 つまり、個人の「パーソナル・ケイパビリティ」はオンリーワンとなります。

TVジョジョの奇妙な冒険より
画像:ジョジョの奇妙な冒険より‥‥記事と関係なし

パーソナル・ケイパビリティ

※「ケイパビリティ」(capability)とは・・・
一般的な英語の意味で、才能や能力と言う意味である。

“経営学的用語”として:競争戦略による差別化が困難な時代においては、ケイパビリティを高めるということで戦略の実現性を高め、このことにより持続的な競争上の優位を確立することができる。
“防衛用語”として:防衛産業でも使われる用語。アメリカ軍の統合能力総合開発システムの例のように、「物理的な能力だけでなく、訓練等の人的能力やリーダーシップなどの精神的要素を含んだ軍事作戦能力」を意味する。

(出所:Wikipediaより)

類似した用語で “キャリア” や “スキル” などがあります。「パーソナル・ケイパビリティ」とは初耳の方もいるでしょう。

会社などで働くためのスキルや知識だけではなく、自身の人生おける “生き方・生き甲斐・使命・役割” などに関する人として生きる上での総合的能力(“キャリア” や “スキル” の集合体)であり、「自己実現欲求」を果たすための実現可能力と捉えてください。

つまり、自身が備える多くの “キャリア” や “スキル” を把握し、効果的に使いこなして、ビジョンや目的を達成するプロデュース(=演出)的能力だと言えます。

パーソナル” とは単純に「個人」を指すのですが、それは独立(孤立)した「個人」という概念ではなく、「社会の中の個人」「社会対個人」「個人対個人」として考えます。※「社会」とは、自分以外の他者・環境など全てです。

時代変化が激しく、複雑な人間関係を伴う社会の中で、いかに実現可能力を発揮するかということになりますが、場面を細かくみていくと‥‥

  • 仕事に関する “キャリア、スキル”
  • 地域社会と関わるための “キャリア、スキル”
  • 家族との関係を良好にする “キャリア、スキル”
  • 友人・恋人との関係を良好にする “キャリア、スキル”
  • プライベートを充実させるための “キャリア、スキル”
  • 趣味や特技に関する “キャリア、スキル”
  • スポーツに関する “キャリア、スキル”
  • お金に関する “キャリア、スキル”
  • 健康を維持するための “キャリア、スキル”
  • メンタルに関する “キャリア、スキル”

……など、多くの場面で “キャリア、スキル” を必要としています。

専門的には、心理学者・組織行動学者ダグラス・ホ―ルが提唱したプロティアン・キャリア(変幻自在キャリア)やバウンダリーレス・キャリア(境界線のないキャリア)などもあります。

それらを分析されることで、人は自らが現時点で備えるキャリアやスキルを認知し、今後必要となるキャリア、スキルを分析していきます。

人間力・社会人基礎力の強化推進が叫ばれている21世紀に挑む私たちは、組織主体キャリアから個人主体キャリア移行していくことが必然なのかもしれません。

人生・生き方、仕事、役割、環境などに適した能力、および目的・使命を果たす自己実現のために必要な能力を身に付け、バランスよくマネジメントしていくことになるでしょう。

そのために、「パーソナル・ケイパビリティ」をさらに3大キャリア「メンタルスキル&静的キャリア&動的キャリア」にカテゴライズし、さらに具現化しています。

careerdesign,キャリアデザイン,パーソナルケイパビリティ
パーソナル・ケイパビリティのイメージ

ライフスキルと人間力

「パーソナル・ケイパビリティ 」に含められる代表的なものとして、「ライフスキル」(Life Skills Education )があります。

ライフスキル

※「ライフスキル」とは・・・

日常生活に生じるさまざまな問題や要求に対して、より建設的かつ効果的に対処するために必要な能力」(WHO:世界保健機関)である。よりよく生きるために必要な技術・能力、生活技能ともいう。

(出所:公益財団法人日本女性学習財団より)

その共通する具体的なスキルとして、以下の10種類が挙げられています。

○意思決定 ○問題解決 ○創造的思考 ○批判的思考 ○効果的コミュニケーション
○対人関係 ○自己認識 ○共感性 ○情緒対処 ○ストレス対処

10種類は代表的なスキルとして挙げられていると思いますが、メンタルスキル系と静的キャリア系が多いようです。『万人への教育』という意図が伝わってくることを踏まえれば、人の「基礎的能力」としての位置付けとして大切な要素であることがわかります。

人間力

※「人間力」とは・・・

社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力。

(出所:Wikipediaより)

『力強く生きていく』という表現は人によって捉え方が違ってきますが、『社会』で生きる『自立』した人間という観点は、私も強調したいところです。

Wikipediaにも記述されていますが、「人間力」の構成要素としての参考事例が紹介してあります。

「基礎学力(主に学校教育を通じて修得される基礎的な知的能力)」、「専門的な知識・ノウハウ」を持ち、自らそれを継続的に高めていく力。また、それらの上に応用力として構築される「論理的思考力」、「創造力」などの知的能力的要素

「コミュニケーションスキル」、「リーダーシップ」、「公共心」、「規範意識」や「他者を尊重し切磋琢磨しながらお互いを高め合う力」などの社会・対人関係力的要素

「知的能力的要素」および「社会・対人関係力的要素」を十分に発揮するための「意欲」、「忍耐力」や「自分らしい生き方や成功を追求する力」などの自己制御的要素

(出所:内閣府/人間力戦略研究会報告書2003より)

社会で生きる人の力

「ライフスキル」「人間力」の定義や概念が専門家たちによって発信されています。技能、能力、素質、経験、知識などの組み合わせとして備えている「社会で生きる人の力」そのものではないでしょうか。

ただ、自分自身に落とし込もうとした場合、実際には苦悩する方も多いのではないでしょうか。その理由を考えてみると、日本での学校教育において、知的能力に関することは当然ながら膨大な時間とエネルギーを費やしています。対人関係力と自己制御力に関しては殆ど覚えていないのが現状です。

例えば私の児童期の“道徳”時間では、『差別してはいけませんよ』『戦争はよくないですよ』『皆んなで協力しましょう』を教えこまれた頃です。しかし、現実は矛盾の社会。学校教育の「基礎学力」主要の学校教育では、大人たちの生きる社会は生きていくには、「自身で何とかするしかない」ようです。

世界の各機関や国の行政などが民衆に対し、公平かつ平等に教育・育成の場を与えていることは殆どなく、特に日本の場合は社会人となった以後は皆無です。つまり学校系教育から解放された後は、学ぶことの辛さが先立ち、自己研鑽(自分自身を成長させること)する人数としない人数の差は明らか。「社会人になってからも学ぶ」ことを実践する割合は、先進国の中で日本は最低レベルという調査結果がありますから。

結局、個人の意思に任されている状況下であると言えます。

個人がいかに自分自身の人生のために努力し、ビジョンや目的を達成するためにいかに日々前進していくか、が鍵となってきます。「キャリアマネジメント」は一人ひとりの責任なのかもしれません。

パーソナル・ケイパビリティを成長させる

「パーソナル・ケイパビリティ」を成長させようと思っても、何を? どうやって? なぜ?という疑問が湧いてきます。

これから考えていきたいのは、

  • 成長した時の自分自身を具体的にイメージ(想像)できるか?
  • いつまでにそうなりたいのか?
  • なぜそうなりたいのか?

です。

理想とする未来の自分自身が見えてきた時、自分自身の現状(今のケイパビリティ)を理解した上で、そのギャップを具体的に洗い出すことが必要になってきます。

現状理解と未来理想の把握
イメージ

理想を現実のものにするために、必要な活動をしていくことになるはずです。その活動によって、時間の経過とともにギャップは埋められていくでしょう。
 例えば、5年後の理想を目指すこととします。(下図)

現状と理想のギャップを埋める
イメージ

1年後の現状と理想とのギャップは当初より減っています。2年後の現状と理想、3年後〜、4年後〜、と活動を続けていればギャップは減り、理想の達成あるいは近づいた状態になっていることでしょう。

ここでの焦点は、理想の達成に及ばなかったとしても、理想を現実にするための活動によって得られたこと(例えば、知識、スキル、資産、人脈など)です。
 この得られたことがさらなる未来に向けて役立つものであれば、それが『パーソナル・ケイパビリティ(Personal Capability)』=自己の総合的な実現可能力になります。(下図の薄緑の箇所)

現状と理想のギャップを埋めるものがパーソナル・ケイパビリティ
イメージ

パーソナル・ケイパビリティ(自己実現可能力)を成長させるベストな状態とは、未来の理想(ビジョンや目的など)が明瞭で、さらに期限も明確に設定されていること。そして、現状理解をしており、理想達成のために必要な(不足な)ものを分析し、具体的な活動内容を把握できた時でしょう。

これがいわゆる「キャリアデザイン」の概念です。

では、具体的にどのように活動していくことになるのでしょうか?

「キャリア・デザイン」のコーチングについてはコチラ>>