日本国内には240店弱の百貨店と、2500以上の総合スーパー(イオンなど衣食住揃った施設)があります。さらには、衣料品専門店(ユニクロなど)や小売店などが存在します。その他の衣料品店などを含めれば、全国に何万店とあるのでしょう。ということは、販売スタッフ(販売員、他店舗に関わる労働者含む)も相当な人数が働いているということになります。ただ、Webショッピング(楽天など)の台頭もあり、激変の時代です。アパレルメーカー倒産や日本からの撤退、店舗多数閉店などが珍しくありません。店舗寿命が短命化してきているのも事実。新規開店する際はスタッフを新規採用しますが、閉店するたびに解雇しなければならない労働問題もリスクです。同時にファッション系の販売職を希望する人が年々減少しているため、現業にも課題山積なのは致し方ありません。(*この記事は2012年頃の情報をもとに記載しています)

ショップ運営の課題

そんな背景の中で、21世期から規模を拡大してきたアウトレットモールという業態と、大型ショッピングモールという業態。

アウトレットモール業の2大勢力は、三菱地所・サイモン株式会社(元チェルシージャパン)のプレミアム・アウトレットと、三井不動産株式会社三井アウトレットパーク(MOP)ですね。

この三菱系と三井系とが競合(当初は三菱系と三井系のターゲット路線は違っていたが、三井系がライバル意識が強くなり対峙・・・という私釈)しながら、相乗効果を作っているのも事実です。

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プレミアムアウトレット系

(画像出典:HPより)

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三井アウトレットパーク系

(画像出典:コモンクラブより)

百貨店が厳しくなったのも、アウトレットショップの繁栄が要因とも言われていましたが、メーカー(または商社)側からすれば、売上と利益が上がれば、どちらでもいいわけです。

(最近は、衣料品専門店(ユニクロやしまむら等)も販売チャネル強化でシェアの取り合いです。)

ところで、

アウトレットモールや大型ショッピングモール出店の課題は、初期から多々ありました。

その一つが、運営サイドと現場サイドのギャップ(歪み)です。

皆さんもご存知のように、アウトレットモールなどは、都市圏は別にしても、大抵郊外型が主流です。広い敷地が求められますから、極端な話し、地方・田舎になります。

結果、モールで働く販売スタッフなどの従業員に関する問題点は、頭を抱えるほどでした。

主な問題を3つあげてみます。

・働く人がいるのか?(人数的な問題)

・販売スキルはどうか?(販売職経験者が少数)

・メーカーサイドの管理(本店・支店から遠い)

古いモールになりつつある関東郊外型で大型モールと言えば、御殿場や軽井沢のアウトレットモールです。

オープン当時、東京圏または他地域の店舗から御殿場、軽井沢などに引越し、地元に住み込んで働いている店長さんもいました。移住を嫌う店長さん、マネージャーさんは、毎朝1時間半から2時間かけて御殿場や軽井沢まで通勤。知る限り、遠い人は横浜から御殿場まで車通勤、東京から軽井沢まで新幹線通勤という感謝状を送りたい(?)方々もいました。

と言っても、販売スタッフの殆どは地場採用です。オープン時は“販売職未経験の店長”というショップも少なくありませんでした。

メーカー側としては新人教育、労務管理が大変であることがお分かりでしょう。

その解決策の一つとして、日々の店舗運営を任せる(委託する)手段を選ぶメーカーまたは商社もあります。それが「販売代行」という委託システムです。簡単に言えば、下請け業者に依頼するイメージです。

「販売代行」という委託システム

アパレル・ファッション業界における「販売代行」は、下のイメージ図(一例)のようなビジネスモデルになります。

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つまり、

販売スタッフの採用や教育、管理、さらに日々の店舗運営(開店から閉店業務、売上報告まで)を外部会社または個人に委託するシステム(ビジネスモデル)です。

一般業界でいうところの“アウトソーシング”になります。

「アウトソーシング」って何?>>

販売代行」ビジネスの仕組みを簡潔に説明すると、基本的にテナント(ショップ)、商品等の準備・供給は全てメーカー(または商社)であり、日々の店舗運営全般を他の会社・個人に任せる分業スタイルです。

販売代行によるメーカー側のメリット

次の(1)(2)は、主なメリットになるものです。

アパレル販売代行メーカーメリット

商社はこのことを踏まえ、販売代行システムをよく活用しています。

アパレル販売代行メーカーメリット

メーカー側にとってメリットとなることは、委託された「販売代行会社」にとってもメリットになります。店舗(ショップ)の売上額に対する歩合(率など)での報酬を、メーカー側(発注者)からいただくことができます。

つまり、テナントを準備して家賃を払って、商品を仕入れて在庫を抱えるような自店舗運営のようなリスキーさはなく、“売上をあげる”ことに徹することができます。

販売代行の報酬について

もし、月の店舗売上が500万円で、報酬率(歩合率)が20%だったら、100万円をメーカー(発注者)から頂戴します。

20%の歩合契約を取るのは・・・正直、厳しいです。

アウトレットモール、百貨店、ファッションビル、路面店、大型ショッピングモールなどの環境、市場条件などで報酬率(歩合率)は変動しますが、

おおよそ10%〜20%の間、アウトレットモールなら、10%〜15%前後、百貨店、路面店、大型モールなら、12%〜20%前後が主流でしょうか。

※2012年頃の情報をもとにしています

その報酬の決め方は、単純に店舗売上の見込み額(あるいは売上実績)が基準ですが、複数方法あるため交渉次第です。

報酬の決め方について >>

アウトレットモールの場合、(立地条件やリーシング(=どのブランドをどの区画に入れるのか折衝、調整すること)内容にも左右されますが)ディベロッパー(=モール運営管理会社)の努力もあり、それなりに集客がありますので、売上額も増えます。例えば、先程紹介した三菱系と三井系のアウトレットモールでは、客層の違いにより客単価に差があると言われています。

都市圏と地方でも売上額の差は生じます。

販売代行」のシステム(ビジネスモデル)を導入している割合は、アウトレットモールや百貨店などで違いがありますが、地方型アウトレットモールなら店舗数の約3~5割は、「販売代行会社」にて運営している状況でしょう。

(察知できた人もいると思いますが、)メーカーのブランド力と商品力、そしてトレンド系で、もともと売上の良いメーカーショップは、「販売代行会社」にとっても魅力があるということになります。

売上が今一歩微妙なメーカーショップになると、販売代行会社側としてのメリットが乏しくなります。

そのために、

メーカーサイドの売上状況、人気度や顧客層などはリサーチが必要ですし、報酬率の交渉をする際の提案力も重要です。(パイプ(関係性)、つまりコネ!も大切ですが・・・)

売上を見込めるからといって、報酬率を下げて契約すると、後々泣きを見るのは「販売代行会社」側です。

かつ「販売代行会社」同士(ライバルと)の熾烈な提案合戦もあります。

安易に報酬率で競争しあったり、メーカーサイド(メーカーというより商社が多いかな?)担当者の安価な販売代行会社と契約するという低レベルな基準があったりしますから、8%の報酬率という契約も聞いたことがあります。

契約前の交渉を中途半端に行えば、泣きを見るのは、「販売代行会社」なのです。

販売代行のデミリット

まずメーカー・商社(委託)側のデメリットです。主に、

  • 売上予実の誤算で外注費が高くなる
  • 安かろう悪かろうの販売代行会社によってブランドイメージが損なわれる
  • 販売スタッフの帰属意識が薄く、定着が悪いため顧客も流動的、売上も安定しない

次に販売代行会社(受託)側のデメリットです。主に、

  • 売上が悪い場合、報酬が低い
  • 販売スタッフの教育に労力が必要
  • メーカー側との交渉で劣勢になる
  • 契約更新されない可能性もある

ショップを運営するということは、販売スタッフさん達を雇い、毎日シフトで運営していく必要があります。

これは、メーカー直営店であっても、販売代行会社であっても、人件労務費は必要です。

(人件労務費とは、給与、各種手当、保険料、有給などの福利厚生費など)

※さらに詳しいことは、「アパレル販売代行をしてみたい方」にて確認できます。

メーカー側は、売上がそれほど期待できなさそうな市場(ディベロッパーとの関係を保持するための出店など)であれば、直接雇用を避け、外部の販売代行会社に任せたほうが、「雇用リスク」を軽減でき、さらに管理コストの削減もできると考えるでしょう。ところが予想に反して売上好調で代行会社への報酬が高くなる、つまり外注費が高額になることも有り得ます。ないせいかより高額な外注費は、メーカー側のデメリットの一つになります。

逆に売上が悪ければ、販売代行会社の報酬額が減りますので、人件労務費などの支出額を差し引くと、赤字になる月も。店舗運営なら当然ですが、利益の確保は集客に左右されます。

販売代行会社側のデメリット」の一つです。

年間を通して、春・夏・秋・冬の季節、さらに年末年始、ボーナス時季、連休などの〇〇商戦がありますから、売上の良い月と悪い月の差が大きいのは想定してください。

よって、年間単位で損益(利益と損)を考えていきます。

それでも店舗によっては、年間で赤字になる場合もあります。

この要因として(集客などとは別に)、最初の契約時の商談に甘さがある可能性は否定できません。

勿論、メーカー側や商社側(担当者)は報酬額を安くさせようと、強気の場合が殆ど。

商談、交渉する際の有利性・優位性はメーカーや商社側であるからです。

これもデメリット」の一つです。

販売代行会社は、ライバルとの競争に勝つために、安い報酬率を提案します。その結果、年間で赤字になることもあるのです。事業戦略のミスと言えます。

そして、もう一つ。

店舗の年間売上「予想」が、大きく影響します。

とくに、新規のアウトレットモールのように、初進出初出店となると、過去の売上データがありませんから、殆ど目安です。というより、希望的観測での売上見込み額を出してきます。

オープンから一年間はギャンブルと同じです。

もし、近場に商業施設があって店舗を構えているなら、そこの売上額より良くなることは可能性大ですが、それでも目安でしかありません。

どちらにしても、リサーチはとても重要になってきます。

メーカー側が提出してくる売上額のデータ(予想)を、そのまま鵜呑みにしないことです。

それはそれとして、リサーチの中で判断します。

ただ、新規オープンした時のオープン景気という特需があります。お客さんが集中する時期です。最初の数ヶ月だけで、1年間は安泰という場合も少なからずあります。(数ヶ月で、1年間の利益を得た状態)

ですから、

メーカー・ブランドの選び方も重要

勿論、そんなことは既存の販売代行会社も分かっていますので、より競争が激しくなるのです。

その競争に勝ち、契約を取るためには・・・頭脳的戦術が必要です。

そして、もう一つの課題。  ・・・続く・・・

アパレルショップ販売代行の課題(販売スタッフ編)>>