セルフコントロール(Self-control)とは、自己制御・自己統制の意です。
 同類語として「セルフレギュレーション(自己調整・自己規制)」(Self-regulation)があります。

※「セルフコントロール」とは

誘惑や衝動に直面した際に、自己の意思で感情、思考、行動を抑制すること。直接的な外的強制力がない場面で自発的に自己の行動を統制する行動プロセスである。
 セルフコントロールが効かなくなった状態を脱抑制と呼ぶ。

(出所:Wikipedia.2021.6時点より)
画像出典TVアニメ「巨人星」より
(画像「巨人の星」より。
記事とは無関係)

この能力の有り無しでは、人生が大きく変わります。

セルフコントロール」が低い人、欠如している人は、衝動的であり、また鈍感、脆弱、身体的、非言語的、危険志向的、近視眼的である傾向が強いと捉えることができます。

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セルフコントロールする方法

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  1. 刺激性制御(Stimulus control)
  2. 自己監視(Self-monitoring)
  3. 自己教示(Self-instruction)
  4. 自己契約(Self-contract)
  5. 自己強化と自己罰(Self-reinforcementとSelf-punishment)

などが代表例です。

簡単に説明すると・・・

刺激性制御

行動の手がかりになっている出来事を操作・制御することで、自身の行動をコントロールしようとする方法

【例】朝早く起きるために、目覚まし時計をセットする行為

❷ 自己監視

自分自身の行動をモニターする方法

【例】食事時間やカロリー、運動時間、学習時間、買い物した金額などを記録、把握

❸ 自己教示

自分自身に対した言葉などによって、自らをコントロールする方法

【例】「大丈夫!私ならできる。」と言い聞かせるなど

❹ 自己契約

他者との契約を自ら進んで行ない、行動しようとする方法

【例】「これに成功したら、奢って下さいね」と頼む

❺ 自己強化と自己罰

自分の行動に対して自らが設定した条件で、褒美や罰を伴わせる方法

【例】期日までに達成できたら自分にご褒美、できなかったら罰を与える

「される反応」と「する反応」の視点

❶の刺激性制御の考え方の一つとして、コントロール「される反応」とコントロール「する反応」というものがあります。両方が同一人物で生じるということもあります。

例えば、『普段より朝早く、目覚まし時計で起きる』という行動を分析すると、就寝前に “目覚まし時計のタイマーをセットする” 行為=コントロール「する反応(行為)」と、“目覚まし時計で起こされる” =コントロール「される反応(行為)」が、同一人物に生じています。
 理由があって普段よりも早く起きる行動のためには、就寝前の行為を自ら選択して「する反応」を実行するでしょう。もし、目覚まし時計一つのみでは早く起きる自信がない時、目覚まし時計を増やしたり、家族に起こしてもらうようお願いしたりすることも「する反応」となります。

つまり、「する反応(行為)」と「される反応(行為)」に因果の法則があるという観点で、人は自発的に考え行動の選択を行なうことができるということになります。

これは「セルフコントロール」の概念です。

「If-Then」のルール決め

刺激性制御の考え方の一つですが、やり方によっては、❷の自己監視、❸の自己教示にもなります。

「If-Then」のルールとは、「もし〜だったら、〜する」というルールを、自らが前もって決めておく方法です。

私たちの生活の中では多く活用されています。

例えば、

  • 食事をしたら → 歯をみがく
  • 寝る前に → パジャマに着替える
  • ランチが終わったら → 15分昼寝をする
  • 注意されたら → 先ず謝罪の言葉

このようなことです。

もし、自分の中でコントロールしたいところがある場合に、「もし・・・後(前)に、・・・をする」と自分なりのルールを決めておきます。

例えば、本日の夕食を食べ過ぎたら、翌日の夕食は控え目にする。衝動買いしたら、何ヶ月間は買い物を控える。など、自己ルールを決め、さらに記録して可視化していくこともポイントです。スマホ(スマートフォン)アプリには、カロリー記録、小遣い帳のようなアプリがありますので、簡単に記録できます。

自らルールを決めたのに、そのルールを破ろうとしている自分がいるのなら、鏡に映る自分に対してコトバを発して注意してみてください。
 自分を見ること、声を聞くことで、意識を集中させることがポイントになります。

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「する」と「しない」のコントロールの差

セルフコントロール」には、する」コントロールと、「しない」コントロールがあります

「する」コントロールは努力・行動系、「しない」コントロールは我慢・忍耐系と言われており、「しない」コントロールで有名な実験が、「マシュマロ・テスト」です。

「マシュマロ・テスト」(米国心理学者ミッシェルらの発案)

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子供達の目の前に好きなお菓子(例・マシュマロ)を置き、実験者が席を外している間我慢できるかという実験。条件として、我慢できたら数を増やす、我慢できなかったら数を減らす、ということを理解してもらった上での実験。
子供達が、”食べたい”という欲望を抑え、目の前のお菓子の誘惑と戦い始める。顔を伏せたり、目を背けたり、歌を歌ったり、遊んだりして、誘惑から意識を背けようとする「コントロールする反応」が様々に起きる。しかし、我慢できる子供と、我慢できず食べてしまう子供がいるという実験結果。

この実験は、「しない」コントロール、いわゆる我慢するための抑制行動のセルフコントロール実験です。
 我慢できる子供と我慢できない子供の差は、このセルフコントロールによるものです。
 ただ、コントロールできない子供が大人になると社会的適応力や学力、あるいはメンタルヘルスへの影響がある・・・という報告がなされています。
 そこには、大人になっても存在し得る「目先の誘惑への抵抗」や「利得・満足の遅延」などの「しない」コントロールという抑制行動すべき場面が多々ある中で、我慢できないという選択をしてしまう状況があるということです。

そこでアプローチ方法を変えます。

それが、「する」コントロールです。

例えば、ダイエットをする場合‥‥

  • 食事を減らす、甘い物を食べない‥‥などは「しない」コントロール
  • 運動をする、食べ方を変える‥‥などは「する」コントロール

「しない」コントロールは後ろ向き的な印象があり、「する」コントロールは前向き的な印象があります。

日常生活の中で、「しない」コントロールより、「する」コントロールの方がより持続傾向が強まり、良い成果が出ているという報告が出ています。

「しない」コントロールがダメ!ということではなく、その時その場面に合わせて「する」と「しない」のコントロールを調整するということも必要だと考えます。
 何故なら、「する」コントロールと「しない」コントロールでは、そこに働きかける力が別物であるということ、そして個人の気質、感受性、性質、経験などによって違うからです。

BISとBASおよび実行注意制御(脳科学)

BIS」(Behavioral Inhibition System)

・・・行動制御システムは、罪刺激により活性化されます

BAS」(Behavioral Approach System)

・・・行動接近システムは、報酬刺激により活性化されます

BISが高い人は、罪への感受性が高いため、罪の存在によって行動抑制されやすく、不安などのネガティブ情動を産出する傾向が強いです。

BASの高い人は、報酬への感受性が高いため、その存在によって接近行動が起動されやすく、喜びなどポジティブ情動を産出する傾向が強い、というわけです。

前者は、褒められるより、怒られることが嫌であると考え行動抑制する人、上司に注意されないように、その注意されるだろう行動をしない人などであり、後者は、失敗して怒られることより、褒められることが嬉しいと考え接近行動する人、上司に評価してもらうために、チャレンジ精神で能動的な行動に注力する人です。

つまり「飴とムチ」という手段が、その人によって反応、効果が違うのと同様に、セルフコントロールにおける「❺ 自己強化・自己罪」も個人の気質などに合わせた方法を取り入れることが有効であると考えます。

さらに、受動的・自動的なこのBISとBASを調整するとされる能動的・意図的な「実行注意制御」(Effortful control)があります。

ここでの ”注意” とは、悪いことをした時の ”注意” という概念ではなく、”意識をどこに向けているか” という概念での ”注意” です。”注意をはらう”‥‥などで使われるコトバです。

この「実行注意制御」は、葛藤を解決する、誤りの検出や修正、行動計画の立案する時などに機能する能力とされていて、意思決定能力に関連付けされています。

これらが、他者・社会との関わり合いの中で生きていく上で必要な社会的自己統制(Social Self-Regulation)に大きく関与していることです。簡単に言うと、「自己主張」「感情・欲求抑制」「持続的対処・根気」などに関与しているということ。

例えば、BISは、自己主張、感情・欲求抑制に対して、負の相関があり、BASは、自己主張には正の相関、感情・欲求抑制には負の相関があります。

ただ、持続的対処・根気については、BISとBAS、ようするに罪・報酬に対することより、努力を要する実行注意制御の方が関連性が高いという報告がなされています。

また、BISとBASが両方とも高いレベルの人は、実行注意制御も高く、実行注意制御の高い人は、社会的自己統制も高いという結果が出ています。

これは、BISとBASを個別のものと捉えるのではなく、バランスが必要だということ

そう言った意味で、BIS、BAS、実行注意制御を高くすることが、社会的自己統制を高く維持できることにつながることとなるわけです。

(参照:日本パーソナリティ心理学会

他者を利用したセルフコントロール方法

❹ 自己契約」を他者と行なうことで、他者の視点を考慮して自らのコントロールすることもそうですし、「自己監視」や「自己強化・自己罰」の方法で、他者視点も含めるということも可能です。

可視化して他者も確認できる状態にする、あるいは、自分が決定した条件と賞罰を他人にお願いする・・・ということも効果的です。

あとがき

セルフコントロールの方法を複合的に行なうこと、さらに無理なく継続できる状態を作り上げることで、少しずつ「セルフコントロールができる自分」へと変化していきます。

ただし、「セルフコントロール」の低さの問題と同等の扱いとして、“間違った過程や間違った方向による間違った制御” を問題視しており、さらには、コントロールし過ぎることも問題とされている意見もあるようで、そこには、コントロールの中庸(極端にならないこと)であることが良いとされていますので、個人の性格や生活、仕事などのライフスタイルに合わせたコントロール方法を、試行錯誤しながら身に付けると良いでしょう。

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