セグメンテーションSegmentation)」は、マーケティングのプロセス「STP」の一つです。マーケット(市場)の細分化を行なうことですが、個人が就職やキャリアデザインをする上でも、役立つ思考法になります。多種のカテゴリー・属性・要素などから分類化(演繹法)を行ない、自らの理想の活動領域を見つけると共に、後の「ポジショニング」をする意味合いも含めて、思索的行為になります。

STPとは

マーケティング・プロセス「R-STP-MM」の中の「STP」で、

マーケティングプロセスSTP

Segmentation(セグメンテーション)

―――自身のキャリアを活かしたい場所を全体から細分化する。場所とは、居たい業界、活躍できる分野、好きなカテゴリーなど

Targeting(ターゲティング)

―――自身のキャリアを誰のために活かしたいのか、をイメージする。誰と繋がりたいのか定める(詳細はコチラ

Positioning(ポジショニング)

―――自身のキャリアは他の人と何が違うのか、を探り具現化する。人生経験や環境、地域などは人それぞれ、の意識で経つ位置を明確にする(詳細はコチラ

になります。

この「STP」は、時代背景の中で変化していく環境を理解し、抽象的な社会ではなく、ターゲットを絞り(選択し)、能力やスキルなどの個人のリソースを集中させる目的があります。

今回は、その一つである「セグメンテーション」について説明します。

セグメンテーションの考え方

「セグメント」とは “部分” という意で、細分化・分類化することです。

marketing_stp_s

“マス”とは大衆、つまり社会を形成する人々という概念で、 それをあるカテゴリー(属性・要素)ごとに細分化することをマーケティング用語で「セグメンテーション」と言います。

カテゴリー・要素の分類は特に決まりはなく、自由に決めればいいのですが実際には面倒臭いところもあって、これまでの分類方法を利用することが多いです。

今回は、分類化(細分化)する上での参考になる方法を見ていきましょう。

2軸4分類法

例えば、従来の基本セグメント方式として、「2軸4分類」となる「デモグラフィック変数」と「サイコグラフィック変数」というものがありますので、確認をしておきます。

セグメンテーションにおける変数

現在も使用されている「デモグラフィック変数」(人口統計学的属性)となる性別、年代、地域、世帯構成などのセグメントと、「サイコグラフィック変数」(心理学的属性)となる価値観、嗜好性、ライフスタイルなどのセグメントになりますが、以前の高度経済成長時代は、「デモグラフィック変数」が主となりマーケティングが行なわれていました。

例えば(今もあるようですが)、年齢、性別の区分として、F1層=20歳〜34歳女性、M2層=35歳〜49歳男性・・・・のように、大まかな分類などです。

生活水準が豊かになるにつれ、嗜好性、ライフスタイルなどが変化し、さらにはインターネットの普及によって、情報共有、情報収集が容易かつ頻繁になったため、性別、年代、地域を超えたカテゴリー(属性・要素)がコミュニティレベルで増加し、また、所得の高低、意識(惚れ具合など)の高低なども大きく関与する複雑な分類化が必要となってきました。

イメージ的には下図のように、インターネット普及前と普及後の分衆、コミュニティが完全にバランスを崩した一種のイメージです。

セグメンテーションの変貌,デモグラフィック,サイコグラフィック

普及前は、男女別、そして年代別というデモグラフィック変数が主で、普及後は、所得の高低、意識(惚れ具合など)、多趣味、価値観などのコミュニティ。

実際の市場(マーケット)でも、40歳代、50歳代の女性が、若者ファッションを購入し、10歳代、20歳代が、高級ブランドを身につけ、外食を増やし、セレブが100円ショップやファストファッションで買い物をしています。

また、通販・ダイレクトショッピングで、年齢や性別関係なく遠方の品物あるいは密かに欲しいモノが手に入る時代なので、データ集計することもままなりません。

今や、何がヒットするのか、読めない時代になりました。過去の企業主体の市場動向ではなく、完全な消費者主体の動向です。

従来の「デモグラフィック変数」と「サイコグラフィック変数」のバランスとともに、多様化したライフスタイルに適したセグメントのできるカテゴリー(属性・要素)を考察して、「セグメンテーション」を行なうことになっているということです。

その参考として、いくつかのカテゴリー・属性を見てみたいと思います。

Japan-VALS

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10のカテゴリーに細分されていますが、伝統尊重派、社会達成派、自己顕示派、革新創造派を意識することがポイントです。

お気づきの通り、イノベーターアーリーアダプターとなる市場属性ですので、この属性配分は、確実に抑えておく必要があります。(・・・インベーダー、アーリーゲーターではないですからね。)

さらに、ライフスタイルを分類したものが次のものです。

プラマーによる「ライフスタイルの次元」

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これは、Plummer(プラマー)による「ライフスタイルの次元」を現したものです。

人は、普段どのような活動をしているのか、人は、身の回りに対してどのようなことに関心があるのか、人は、どのようなことを考え、意見を持っているのか‥‥など、それらを分類し、そしてデモグラフィックを考慮したセグメントになっています。

これらを組み合わせることにより、細かいセグメンテーションができます。

主婦のサイコグラフィック属性

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これは、R.ジフによる主婦を前提としたセグメント方法です。サイコグラフィック属性の価値観を主とした内容になっています。ですから、それにデモグラフィックを掛け合わせて、セグメンテーションすることをおススメします。

Haleyによる「ベネフィット属性」

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これは、消費者が望むベネフィットを属性化し、それに適したセグメントをしようというものです。

上図は、練り歯磨きを例として出してありますが、各プロダクトのベネフィットを分析、把握し、どのベネフィットに対して、消費者が消費行動を起こしたのかをリサーチしながら、そのベネフィットを一つの「価値またはウォンツ」として、新たな開発に取り組む‥‥ということになると思われます。

あとがき

ライフスタイル、価値観、趣味、嗜好などに合わせたセグメントを考えていくことで、より理想の活動領域で仕事やビジネスを行なう際のプロモーションのコスト、労力を集中させることが可能になります。

「セグメンテーション 」は、今後自身が活動しやすいように、方法を選んだ方が良いと考えます。

最後に、「セグメンテーション」を行なう際の留意点として、コトラー氏から提唱されたことを共有します。参考にして下さい。

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