目次
ニーズとウォンツの考え方
個人や集団が製品及び価値の想像と交換を通じて、
そのニーズやウォンツを満たす
社会的・管理的プロセスである。
世界的に有名な現代マーケティングの父フィリップ・コトラー氏は、このようにマーケティングの定義付けをしています。
今回は、「ニーズ」と「ウォンツ」について説明します。
「マーケティングを理解する(全体像)」でも触れていますが、下図の「誰に」と「何を」の関係の中で行なわれるビジネスにおいて、「誰に」の箇所にあたる、マーケット上のお客さんの「ニーズ」と「ウォンツ」を満たすことが重要になります。
営業職や企画、広告関係などの方であれば、「お客さんのニーズをしっかり掴め!」と上司のうわ言があることでしょう。
あるいは、「お客さんのニーズにお応えします。」などのありふれた宣伝文句もあります。
この時に使われる「ニーズ」とは、大半の場合「ニーズ」と「ウォンツ」を一纏(まと)めにしている状況も伺えます。
お客さんが法人相手(B to B)の場合、「ニーズ=問題・課題」と解釈しているということも言えます。その際は「問題解決策=ソリューション」を提供しているわけです。
これから「ニーズ」と「ウォンツ」を簡単に解説します。
「ニーズ」と「ウォンツ」の違い
【意味】
ニーズ(Needs)とは、「必要性」です。
これは、人類共通の欲求(生理的・個人的・社会的欲求)であるため、人が創り出すものではないということです。
ウォンツ(Wants)とは、「満たすべき欲求・欲望」です。
ニーズが具体化した個人的な欲求であり、環境や価値観、個人の好みなどが影響するものと考えてください。
先ず、簡単な例えで言いますと、
次に、よく例として挙げられるものですが・・・
(具体的に欲しているモノ)
この例で考えるべきことは、『穴を開けたい』というニーズに対して、ウォンツは電動ドリル以外の選択肢もあるということです。
このように、「ニーズ」は、目に見えていないが、求めているコト・モノであり、「ウォンツ」は、具現化された、欲するコト・モノであると言えます。
そして、「ニーズ」を埋め合わせる(解決する)ための「ウォンツ」は一つではないということです。
「ニーズ」のある個人の価値観や嗜好、感情などが「ウォンツ」を選択することになります。
ですから、ビジネスを行なう供給側としては、「ウォンツ」に適したプロダクトを企画し、制作していくことになります。
「ニーズ」の深掘りから「ウォンツ」を探る
では、もう一つの例えです。(一緒に考えてみましょう。)
「痩せたい」「ダイエットしたい」という人が世界中に沢山います。
これは、すでに顕在化されている「ニーズ」です。
※潜在的なものではないということです。
ただ、この「ニーズ」だけでは、「ウォンツ」を見出だすには苦労します。
この「ニーズ」をさらに深掘りする必要があります。
「痩せたい人」「ダイエットしたい人」は、何故(Why)「痩せたい」「ダイエットしたい」のでしょうか?
そこには、さらなら「ニーズ」が隠されています。
(隠れているわけではありませんが‥‥)
・健康のため?‥‥病気になりそうだから?
・奇麗になりたいため?‥‥お洒落をしたいから?
・カッコ良くなりたいため?‥‥モテたいから?
・誰かに笑われた?‥‥悔しいから見返してやりたい?
・もうすぐ結婚式だから?‥‥ドレスを着たいから?
このように「痩せたい」「ダイエットしたい」理由を深掘りしていくと、場合によっては、痩せなくても「ニーズ」を解決できることもあります。
つまり、痩せること自体が「ニーズ」ではなく、痩せることで満たされる、感情的な「ニーズ」があるということです。
ということは、「ウォンツ」は「ダイエット商品」だけではない、ということになります。
では、さらに深掘りしていきます。
「痩せたい人」「ダイエットしたい人」は、個々人のライフスタイルや価値観があり、全ての人が同じ「ウォンツ」ではないということを考えると、どのようにして痩せたいか‥‥という方法に注目します。(How)
時間がない、簡単に、お金をかけてもいい‥‥などの人なら、サプリメントやダイエット食品などがあります。
時間があって、お金もある人は、美容系のお店で優雅に‥‥。
時間あるけど、お金がない人は、運動などのハード系ダイエット法。
他に、食事制限や食べ方を改善するなど、様々な方法があります。
これらを、マトリックス図に可視化していくと、いくつものセグメント(分類)が把握できてきます。
そのセグメントされた人たちは、似たような「ウォンツ」を欲しがる傾向があります。
一つのセグメントが小さければ小さいほど、「ウォンツ」が絞られます。(What)
その一つのセグメントに存在する「ウォンツ」に対して、満たすべき「プロダクト」を提供することができれば、そこにビジネスが成り立つ図式が出来上がることになります。
察知して頂いた方もいると思います。
「ニーズ」から「ウォンツ」を探索していくと、Why → How → What の流れが見えてきます。
「ニーズ」「ウォンツ」が理解できることで、Why → How → What の流れに沿った価値ある「プロダクト」制作に辿り着くことができると思われます。
ただ、モノが溢れている世の中ですから、「ニーズ」や「ウォンツ」が顕在的なことだけではなく、人の潜在的なところまでを洞察する力が必要とされている時代です。
この洞察力を業界用語で「インサイト」(コンシューマー・インサイト)と呼ばれていますが、「インサイト」を身に付ける以前に、人の「ニーズ」に関連する心理、消費者行動などを触り程度でいいので、理解するとより「ニーズ」「ウォンツ」を幅広く探ることができます。
そこまでお話しする理由としては、「ニーズ」「ウォンツ」を満たせばいいという発想では限界があるからです。
「ニーズ」「ウォンツ」を満たすことの「真の意味」を理解し、そこに「価値」というものを創造するキッカケになればと考えます。
いくつか参考になるものとして、別ページにて解説していきたいと思います。
さて、次に「誰に」の「誰」とは「誰」なのか? です。