ビジネススキルは外部要素で、ビジネス「メンタルスキル」は内部要素です。(下図参照)
この「メンタルスキル」がビジネススキルを制御する役目を担っています。ビジネススキル(キャリア)ばかりに気を取られてしまうと、“利益主義” “成果主義” 的になったり、あるいは “メンタルの弱さ” が露呈しチャレンジできなかったり、継続できずやめてしまったりします。
真のビジネスを継続していくために「メンタルスキル」を中核として取り組むことは、重要課題なのです。
ビジネススキルとビジネス「メンタルスキル」は、内外関係であり因果関係であり、「メンタルスキル」が主体者的であると言えます。
※メンタルスキルはビジネスのみならず、日常生活をする上でも重要なスキルとして認知されてきました。こちらでは、ビジネス領域における「メンタルスキル」として取り上げています。
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ビジネス・メンタルスキルの考え方
ビジネススキルとメンタルスキルの関連は特有のことではなく、世界的に有名な『7つの習慣(コヴィー氏著書)』にある「インサイド・アウト」と同じ概念(下図)であることが分かります。
人の活動コアが内部(価値観、信念、個性、信条、思考など)からであることを踏まえると、外装的なビジネススキルより内装的なビジネス・メンタルスキルを正しく、適切に向上(醸成)させていくことが、活動に対してプラスに影響すること間違いありません。
ビジネス・メンタルスキルの本質
ビジネス・メンタルスキルの要素も数多くあるはずですが、ここでは本質として3つのコアを念頭においています。
「個の制御」とは、
セルフ・コントロールの概念です。人には、欲求(願望、夢など)が存在します。動物と違うものとして、この制御機能が発達しているということです。課題は「制御できているかどうか」ということになりますが、マインド的メンタルスキルとしてコア要素になります。
「個の基準」とは、
行動・思考などの基準となるものです。この基準は個々人で違いますが、その基準によって人の行動や思考が確定します。「なぜ行なうのか?」「なぜやらないのか?」の基準になるものを明確にすることで、さらに行動・思考が一貫性を保ちます。ハート的メンタルスキルとしてコア要素になります。
「集団の個」とは、
社会の中の個人として存在することです。人間の本質でもあります。社会・集団の中でいるべき個であることは理解しても、どのようにあるべきか、ということを考える必要があります。精神的つながり、人間性、道徳性、徳性などが不可欠となります。スピリッツ的メンタルスキルとしてコア要素になります。
ビジネスメンタルスキルのコア(個の基準)
ビジネス・メンタルスキルの「個の基準」のコアは、次の3つです。
使命、価値観、目的です。
3つのコアが明確であることで、活動を制御(セルフ・コントロール)することが容易になります。
この使命(時には目的)が、後述の「Why=なぜそれをやるのか?」に該当します。
自分の「使命」というものを考える時、自然に自分以外の他者(環境も含め)が関与してくるはずです。(ムリすれば自己に対する使命という意識も生じますが、論外です)
その際、他者となる家族・友人知人・会社・地域社会などに対して自分がどのように関わっていくのか、ということを踏まえながら考えていきます。
人生における使命というものは、つくるものではなく発見するものである。
すべての人は人生における独自の使命あるいは仕事を持っている。
その点において、誰もその人の代わりになることはできないし、代わりの人が自分の人生を反復させることもできない。
したがって、すべての人に与えられている使命とそれを実施する機会は、その人独自のものである。
価値観に反する仕事は人を堕落させる。
強みすら台無しにする。
自分の人生の意味と目的を理解し、その実現のために行動できれば、人生の満足感と幸福感は上昇する。
ビジネス活動をするにあたり、メンタルスキルのもう一つの要素としてあるのが「目標」です。
「目標」は、最初から大きな設定をする必要はありません。既にある方は、具体的なステップを組み立てていきます。
ビジネスを行なう上でポイントになってきますので、「目標」についても別途考えていきます。
ビジネス・メンタルスキルを身に付ける
問題は、「メンタルスキル」のコアとなる使命、価値観、目的を確定(可視化・文書化)させたからといって、それでコントロール(制御)できるわけではありません。表向きでは意味がないということです。
つまり「メンタルスキル」は身に付けることが重要です。
そのためにも日々意識して行動していくことになります。
意識して行動するとはどういうことかと言えば、毎朝毎晩読み上げたり、1日を振り返り分析、反省、見直しなども行なっていくということです。
そうすることで、コアが脳にも心にも染みついていきます。そして徐々に、ビジネスメンタルスキルのコアを主とした活動が無意識なものとなっていきます。
これが「習慣化」です。
ビジネス「メンタルスキル」は、「習慣化(継続化)」させることで身に付けていくことができます。
イメージ的には次の図のように、習慣化されることでメンタルスキルが確立され、さらに、それに応じた「アイデンティティ」が形成されることとなります。
では、何をすることになるのか?……当然ながら「習慣化」を理解し、修得することです。
習慣すべきことは、
- 言語習慣
- 行動習慣
- 思考習慣
- 修得習慣
- 対人習慣
大きく分類して、この5つと言われています。
この5つの習慣を、使命・価値観・目的(・目標)をコアとして善なるものを身に付けていくことがメンタルスキルの概念となります。
これなくしてビジネススキルを継続的に活かすことは出来ず、途中で諦めたり、失敗してくじけたり、あるいは利己主義になったりします。
メンタルスキルが強化され、アイデンティティが形成されていくことで、外的要素であるビジネススキルにも磨きがかかり、それによって外的への影響も強くなってきます。まさしく、インサイドアウトの概念です。
ビジネススキル以外のビジネス・メンタルスキルを重要課題として、改めて考える必要性があると言えます。
ビジネス構築のフレームワークとメンタルスキル
ビジネスを始めると、マーケティングのプロセス「R-STP-MM」を行なうことになります。
別ページ「R-STP-MMを理解する(基本編)」にて解説していますが、その中の「MM」は「5W2H」の考え方でも実行可能です。
当方では、“Why” を含めた「8W3H」を基本としてお伝えしています。
この「8W3H」の “Why” が、ビジネス・メンタルスキルのコアに該当します。
「Why」(なぜ)という意識は、「5W2H」よりも先立つことが良いと考えていますが、勿論、同時進行でも構いません。
いわゆる「What for」ということになります。これは、ビジネスにおいては重要タスクです。
一般的にビジネスやマーケティングを学ぼうとする場合、ビジネスのノウハウ、ビジネススキルを中心に学ぶことが多いのですが、ビジネススキルだけでは、成功し得ないということが多々あります。
ビジネススキルは外部要素、その内部要素がビジネス・メンタルスキルです。その要素の一つが「Why」であり、目的・使命に該当するわけです。
これを明確にしない限り、ビジネスの継続的な成功はありません。