自分の役割を見出す

ポジショニングPositioning)」の考え方は、個人が社会で活動しやすくするためのポイントでもあります。ポジショニングは「自分の立つ位置」を明確にするだけではなく、社会の中の一として「自分の存在」を他者に明らかにすることが可能になります。さらに「セルフ・ブランディング」へ紐づくことになります。

ポジショニング」は、マーケティング・プロセス「STP」の一つになっている要素でもあります。

STPの復習

マーケティング・プロセス「R-STP-MM」の中の「STP」です。

マーケティングプロセスSTP

Segmentation(セグメンテーション)

―――自身のキャリアを活かしたい場所を全体から細分化する。場所とは、居たい業界、活躍できる分野、好きなカテゴリーなど(詳細はコチラ

Targeting(ターゲティング)

―――自身のキャリアを誰のために活かしたいのか、をイメージする。誰と繋がりたいのか定める(詳細はコチラ

Positioning(ポジショニング)

―――自身のキャリアは他の人と何が違うのか、を探り具現化する。人生経験や環境、地域などは人それぞれ、の意識で経つ位置を明確にする

この「STP」は、時代背景の中で変化していく環境を理解し、抽象的な社会ではなく、ターゲットを絞り(選択し)、能力やスキルなどの個人のリソースを集中させる目的があります。

今回は、「ポジショニング」について考えていきます。

ポジショニングの考え方

「ポジショニング」は、自分自身の立つ位置を定めるプロセスです。

marketing_stp_p
イメージ図

ポジショニングは、会社組織や商品そのもののポジショニングのみならず、「人のポジショニング」としても考えることが可能です。

例えば、
あなたが、サービス業、職人系などのお仕事で、スキル・能力・経験値などをもとに「ポジショニング」する場合は、上図のマトリックスのように、ある分析要素を踏まえ、どのポジションにいるのかを確認する、あるいは空いているポジションを見つけて、そこを狙っていくということが可能です。

ポジショニングは重要なプロセスになります。

理由は‥‥

「ポジショニング」によって左右されること

があるからです。

次の各プロセスに影響を及ぼすとともに、個人の所得や人間関係なども大きく左右されることがあります。

ポジショニング,影響するプロセス,ブランディング,プロモーション

例えば、「ブランディング」とはどのような関連があるのでしょうか。

「ポジショニング」した位置において、他者・ターゲット(社内、市場、顧客など)が受け入れたことでラベリングされ、それにより関係性が深まると「ブランド化」されていきます。

ブランディング」は、他者による客観的評価がなければ結びつかないため、「ポジショニング」を事前に、そして確実に行なう必要があるということに言えます。

ポジショニング,影響するプロセス,ブランディング,ラベリング

では、さらに「ポジショニング」について詳しく見てみましょう。

2つの「ポジショニング」を知る

ポジショニング」には、2つの種類があります。

ポジショニング,役割,市場

役割的ポジショニング」と「市場的ポジショニングです。

一般的なポジショニングは「市場的ポジショニング」を示していることが多いようです。

市場的ポジショニング

マーケティングで通常言われている「ポジショニング」です。

どのようにポジションを取っていくのか‥‥、いくつかのパターンを参考にしながら、自身の活動の参考にしていきます。

ポジショニング・マップ

一般的に知られているのが、「ポジショニング・マップ」です。

マトリックス図による可視化で、ライバル(競合者)を意識したポジションを見極めます。

最初に自身のケイパビリティ(強みなど)を理解しておく必要があるため、例えば、SWOT分析マトリックス(下図参照)を利用して、自身の強み・弱みなどを分析します。

SWOT分析の詳細はコチラで確認できます>>

swot分析

分析、他者リサーチの情報があった上で、「ポジショニング・マップ」を作成します。
例えば、下図のように、写真撮影技術とインターネットスキルを評価して作ったとしましょう。

ポジショニングマップ

撮影技術は、Aさんより劣っていたとしても、インターネットのスキルがAさんより高く、撮影技術がCさんより上であれば、そのポジションでアピールすることが可能になります。

マトリックス・ポジショニング

マトリックス・ポジショニング」は、前記のポジショニング・マップ同様に、ケイパビリティと他者リサーチを把握した上ですが、マトリックス表にして分析を行ない、他者の弱みが自分の強みであれば、そこをポジションとして捉えることが出来るパターンです。

ポジショニング,マトリックス,市場ポジショニング

セグメンテーション(カテゴリーの絞り込み)によるポジショニング

こちらは、自身のケイパビリティの中で、セグメンテーションを行ないます。細かく分類しながら、ポジショニングをする方法です。

ポジショニング,セグメンテーション,市場ポジショニング

そのセグメントしたカテゴリーのポジションならば、トップの座を得られることが出来る、という考え方です。
お客さん(顧客)から「何々なら、Yさん(あなた)だよね!」となる位置を確保できるように、セグメントすることになります。

「ポジショニング」したから、トップの座を取れるわけではなく、取れる場所で、いかに活動・行為・展開していくか、というわけです。

役割的ポジショニング

この「役割的ポジショニング」は、自身のキャリア、ケイパビリティ(強みや能力など)をどのポジションで活かせるか、というところにフォーカスしたものです。

大まかな役割として、下図の3つになります。

ポジショニング,役割的ポジショニング,サービスを作る人,場を作る人,プロモーションする人

3つの役割とは、

  • 商品・サービスを提供する人
  • マーケティング・プロモーションをする人
  • 場を作る人

です。

自身のキャリアに繋がる強みなどを理解した上で、自身の役割を明確にしていきます。会社組織などで色々な業務がありますが、もしなければ転職という選択、あるいは社内で新規部署立ち上げという立案も選択肢になるでしょう。

もし、個人事業をされている場合は、スタート時は全ての役割をこなすことが多いかもしれませんが、仲間やアライアンス(提携者・同盟者)がいる場合、その役割分担を考えながら、行なっていくことになります。

自分自身の立つ位置をシッカリと定めていき、その役割に対して遂行するための知識、スキルなどの強化を図っていきます。

あとがき

「ポジショニング」はある意味、他者・ライバル(競合者)との「差異化(差別化)」を図るプロセスでもあります。

会社であれば、どの市場のどの位置でビジネスを行なうのかということ。物的商品であれば、 他の商品との違いは何かをどうアピールするのかということ。マーケティング、プロモーション戦略・戦術を決定する前段階のプロセスです。

事業スタート時点でここを間違えると、あとのプロセスがズレてきますので、意識を高めて行なっていきます。

人も同様で、自身のキャリア、ケイパビリティ(強み、能力等)を見極める必要があると考えることができます。

自身の価値を訴求していくために!

野村克也の名言