私のブランディング
『ブランディング』とは “ブランド” になるため、または維持するための活動・行為であり、持続的なプロセスになります。
“私のブランディング”(=個人の『セルフ・ブランディング』や『パーソナル・ブランディング』)も同様です。
個人のあり方、生き方、考え方そのものがブランディング活動に反映し、未来に向けて影響を及ぼします。つまり、あり方、生き方、考え方を精査し、自身のビジョンなどを元に行なうブランディングを適切にしていく必要があります。
もし、“私をブランド化する” という表現に抵抗がある場合は、“ファン化” “承認化” という意識でも、ブランディング活動をすることは可能です。と言っても、目指す “ブランド” とは何かが曖昧であれば、活動に支障が出るのは致し方ないことです。
ここでは、ブランドを構成する「ブランドに備わる価値」「ブランド形成の構造」を理解していくために、それぞれ考えていきます。
Table of Contents
ブランドを構成するもの
ブランドを構成する基本的要素として、『3つの価値』と『3つの構造』に分け、詳細は下記にまとめてみました。
『ブランドの価値=ブランド・バリュー』は、機能的価値、情緒的価値、自己重要感的価値の3つで、近年はさらにもう一つ価値が追加されました。
『ブランド形成の構造』は、ベクトル構造理論、デュアル構造理論、時空間拡張構造理論の3つです。
※企業ブランド化(コーポレート・ブランディング)においても参考になります。
ブランド構成に深く関わる『ブランドの役割』については、別ページにて解説しています。
PR;スキルのフリマ【ココナラ】
ブランドに備わる「3つの価値+アルファ」
“私” のブランディング活動は、「“私の価値” を、他者に承認・信頼し続けてもらうこと」です。『ブランドは契約である』と言われる所以(ゆえん)です。
『私には価値がある!』と思い込んでいても、他者から承認・信頼されなければ “ブランド化” “ファン化” にはなりません。
では、ブランドを構成する価値とはどんなことなのでしょうか。
機能的価値
それは「役に立つもの」かどうかを判定する基準の価値です。
機能的価値の判定例
自動車であれば‥‥
- 燃費が良く税金が安ければ、車名やカラーは拘らない
- 買い物へ気軽に行ける、小回りがきいて沢山の荷物が載せられる
- 家族5人でキャンプへ行くため、広さと安全装備には拘りたい
- 長旅で高速道路を走るため、ストレスの少ないハイ装備が欲しい
製品でいうところの機能性・仕様・スペック・性能などは、機能的価値に該当します。
自動車の機能的な例は、
‥‥タイプ(軽自動車やミニバンなど)、総排気量、エンジン性能(最大出力、最大トルクなど)、燃費、トランスミッション、駆動方式、ブレーキシステム、サスペンション、寸法、重量、安全装置、ナビゲーション、乗車定員、エアコン、メーターパネル、タイヤ&ホイールなどカタログに記述されている情報です。
自動車に関心のない若者が増えていますので、パソコンを例にあげると、
‥‥タイプ(ノート型やデスクトップ型など)、モニター(画面)サイズや種類、メモリ(RAM)容量、CPU能力、ストレージ、重さ、OS、アプリケーション、グラフィック性能、Wi-Fi、Bluetooth、NFC、端子などパンフレットや取扱説明書、本体などに記載されている情報です。
つまり、国内外で共通認識できる名詞、数値、規格合格品表示など、可視化されたものと言えます。
さらに、素材、品質、価格、耐久性、安全性、保証なども当然あるべき価値と考えることができます。
この “機能的価値” は、同業他社で類似したものとなる傾向が強く、新商品を製作したとしても短期間で模倣される部分であり、コモディティ化してしまいます。
この価値だけでは、買う側はブランドイメージとして納得しなくなります。機能性・性能がハイクラスであっても、結果的に価格競争(値下げ競争)、特典付などのサービス競争に陥りやすく、利益が少なくなります。
人であれば、技術・スキル・知識・学歴・資格・免許・経験値・身体的特徴などを指します。
経理事務を例にあげると、
‥‥簿記の資格、経理の経験値(企業本社経理と商店経理の違いなど)、パソコン入力スキル、経理ソフトの知識、決算書作成スキル、Excelでの資料作成、電卓操作スキル、計算能力、暗算能力、分析力、経営企画の知識、正確性、集中力、外部者(会計士、銀行員など)とのコミュニケーション能力などが該当します。
スポーツアスリートを例にあげると、
‥‥身長、体重、腕や股下の長さ、ウエスト、胸囲、視力、動体視力、聴力、跳躍力、肩の強さ、腹筋力、背筋力、腕力、柔軟性、肺活量、病歴、喫煙有無、飲酒量、特技、テクニック、技の種類、競技歴など。
つまり、視覚・聴覚などから得られる人物についての情報と言えます。
会社が求人募集にて採用する際の最低限の内定基準は、これに該当します。
人事採用時の例
- 目安になる資格などは保有しているか
- 即戦力になるか(教育は不要か)
- 当社に不足している強み(見識など)を持っているか
- 質問に対する答え(応え)が的確か
などを判定できる現時点での事実情報。
相手に伝える自身の「機能的価値」は何になるのでしょうか?
情緒的価値
それは「好きになるもの」かどうかを判定する基準の価値です。
「感情的価値」「心理的価値」「観念価値」「認識的価値」とも言われているものです。
情緒的価値の判定例
自動車であれば‥‥
- 古くても、シックなレトロ車がいい
- 子どもの頃に見た映画で出たアメ車がいい
- 内装の色とデザインが可愛い車がいい
- 故障が少なく安心できる国産車がいい
人の嗜好性(単純な「好き・嫌い」も含む)、価値観などは人それぞれです。
“物” に対して『一目惚れして買った!』と言う方がいるのは、まさしく情緒的価値の範疇です。
自動車であれば、基本的な機能以上を求めておらず、デザイン性やカラー、ファッション感覚、自身のライフスタイルに適合しているものなどを選ぶ感覚です。
つまり、マッチング相性。
第一印象、イメージ、安心感、心地よさ、優越感、快感、美徳など五感(視覚・聴覚・触覚・臭覚・味覚)で得ることができる価値と言えます。
人事採用時の例
- 挨拶や言葉使い、笑顔、姿勢などの印象はどうか
- ビジュアル、美徳感、清潔性などはどうか
- 明確なビジョン、価値観、哲学などを持っているか
- 受容力、忍耐力、主体性などは備えているか
などを判定できる現時点での感覚的情報。
相手に与える自身の「情緒的価値」は何かを考えてみましょう。
自己重要感的価値
それは「満たしてくれるもの」かどうかを判定する基準の価値です。
「体感価値」「社会的価値」とも言われているものです。
自己重要感的価値の判定例
自動車であれば‥‥
- 環境を考えたハイブリッドやEV車に乗る(自分がいる)
- オープンカーや高級車を乗り回す(自分が好き)
- 大きくて重量感あふれる車を操る(自分はカッコイイ)
- 非日常を味わえるキャンピングカーを持つ(自分は幸せ)
自己の理想や希望、ライフイメージを実現・表現、および満たしてくれること。さらに、満たされた状態の「自分が好き」になれることへ結びつきます。
志向性、差別化、社会協調性、共感性、伝統観などの自己実現的な価値と言えます。
人事採用時の例
- 当社ビジョンや目的達成のために切磋琢磨してくれるか
- 会社のために真面目に働き、貢献してくれるか
- 会社・部署の改革に良い影響を与えられそうか
- 信頼して任せられる人物なのか
などを判定できる現時点での直感的な情報。
相手に感じてもらう自身の「自己重要感的価値」に該当するものは何でしょう?
「+アルファの価値」
精神的価値
自身が「関わること」で「役立っている」「意味がある」など、「社会と自身の繋がり」強度で判定する基準と考えます。
自分自身の精神度を満足させる自己満足系の「価値」とは少々違います。
「貢献的価値」「利他的価値」に類似する価値です。
例
(例1)コーズ・マーケティングなど
- ミネラルウォーター1ℓ1本を買うと、10ℓが貧困国に送られるから、6本買った。
- 靴1足を買うと、貧困国の裸足の子供に靴が贈られるから、家族全員で靴を買った。
(例2)MROCなどのコミュニティなど
- インフルエンサーを育てる環境整備、価値観等を共にする消費者のコミュニティ施策で、情報提供、情報共有し合いながら、商品開発・商品改良を促進していく、など。
私見としては、「共創価値」と位置付けていて、対象(お客・他者)が共に盛り上げてくれている状況、社会貢献になる意識をもとに顧客参加型になる価値と捉えています。
ブランドを形成する「構造理論」
ベクトル構造理論
【平面ベクトル構造】
いかに広く、いかに多くの人達に認知されているか
【逆三角錐ベクトル構造】
いかに深く、その人の心に浸透しているのか
※「ブランド知識構造」に関係してくるもの。「ブランド知識構造」とは、ブランド認知の水準やブランド連想度合いなどによるもの。
参考
※ベクトル構造理論を活かし「ダブルファネル」の顧客関係性構築を図る。
デュアル構造理論
【アウター・ブランド構造】
一般的に言われているブランドイメージ(例:社名、ロゴ、商標、シンボル、キャッチコピー、デザインなど)
【インナー・ブランド構造】
インターナル・ブランドとも呼ばれている。アウターブランドの土台であり、核(コア)になる。
顧客に見えない部分のため、疎かにしている傾向が強い。コンプライアンス、情報管理、チームビルディングなど。
「インナーブランド」が構築されていない企業は不祥事などを起こす傾向あり。
(例)船場吉兆事件(廃業)、ミートホープ偽装事件(廃業)、雪印牛肉偽装事件、石屋製菓白い恋人賞味期限改ざん事件、スポーツブランドショップ店員のSNSによる芸能人誹謗中傷、飲食店従業員裸体画像SNS投稿事件・・・など。
※「7つの習慣」(コヴィー著書)のインサイドアウトの概念に適する。
※この理論を活かし、「インサイドアウト」概念のブランディングを進めます
時空間拡張構造理論
【時間拡張構造】
現在から未来への拡がり。
後継者(子孫)などに引き継がれるのか。
【空間拡張構造】
直接の対象から他者への拡がり。
背後の存在(家族、親族、友人、同僚など)にまで拡げられるのか。
この3つの構造理論を理解し、どのような「ブランディング戦略」を行なうのか、具体的に勘案していくことになります。
まとめ
ピーター・ドラッカー(プロフェッショナルの条件より)
セルフ・ブランディングとは(1) 私をブランド化する戦略>>