人の歩み方、生き方、あり方は様々です。

その過程の中で人は、『成長したい!』または『成功したい!』と思うことがあります。「成長」より「成功」を望む方が多いような気もしますが、それは「成功」を望む方が活発に行動しているために目立ち、かつ接することが多いからでしょう。書籍やWeb情報、セミナーなどのテーマとしては「成長」に関することが多いように感じます。
 どちらにしても「成長」と「成功」は無関係ではありません。

今回は、自己成長つまり自分が成長することと、成功することを『キャリア・マネジメント』的に考えてみました。

「成長」と「成功」の関係性を踏まえながら、自分に適した「自己成長術」を発見し修得していくことで、自身の望むビジョン(=理想の姿、理想のあり方、理想の生き方、理想の人生)に近づける、ように考えていきたいと思います。
 勿論、当サイトのテーマであるマイキャリア(セルフキャリア)のために!!

成功は成長の果実である

成功は成長の果実』(by.青木仁志氏)というお気に入りの名言からも、「成長なき成功はあり得ない」と察することができます。

ただ「成長したら必ず成功する」とも言えません。成功は結果論であり、起こり得る結果は一つではないからです。
 そして、“果実”が美味しいか不味いかは、その時に食べてくれないと(←ここは大事!)分かりません。
 自分が食べて「その果実は美味しい!」という自己満足で終えるか、別の人に食べてもらい「その果実は美味しい!」と好評をもらうのか‥‥そこに価値の差が生じ、それ以降の活動にも大きな違いが生まれます。

「成功」は “何かしらの結果” として表面化・具現化したものであることは事実です。その “何かしら” という活動・行為が因子となり、結果が生じます。良い結果を導くのか、悪い結果をもたらすのかは、活動・行為の内容如何、つまり内容の良し悪しと言えるでしょう。

人は活動・行為する上で目的などがあるはずです。目的などの良し悪しでも活動・行為は違ってきますから、当然結果も変わってきます。

小説&ドラマ『下町ロケットシリーズ』を参考例で挙げてみます。

下町ロケット
下町ロケット ガウディ計画
下町ロケット ゴースト

阿部寛氏の演じる佃社長と小泉孝太郎氏の演じる椎名社長との競争で、製品開発に対する目的、ビジョン、価値観の差が行動にも結果にも差が生じました。良し悪しが明確になったわけです。
 次章の『ガウディ計画』では、佃社長率いる佃製作所社員と北陸医科大学一村教授とサクラダ社長が、目的の一致した各々の違った活動が良い成果を収めることができました。
 これらは「製品の完成=成功」を目的としておらず、「製品の完成に伴う効果」「製品の完成による良い影響」を目的としていたことが分かります。

成功は結果であって目的ではない。

ギュスターヴ・フローベール[仏・小説家]

では、人生における自分自身は何を “成功” と見なすのか? そもそも “成功” を求めることは必要なのか? などを考える必要がありそうです。

自身にとっての「成功」とは何か?

・・・という自問に対して、今は不明確でも曖昧であっても、問題ありません。

育った環境が違い、資産も別々で、価値観や個性のある個々人の人生のあり方は、唯一無二です。
成功」というものも同様で、人それぞれの「成功」の型があります。

そして「成功」に大小は関係ありません。こだわる必要性はない、と言ったほうが妥当かもしれませんが・・・。

成功の姿は、人によってみな異なる。

近年の『多様性』という社会的ワードは、これに対しても該当します。(マナー違反、倫理違反でなければ)他人からとやかく言われる筋合いはないのでしょう。

※「成功」とは‥‥

計画などがうまくいき目標が達成できたことや、社会的に一定以上の地位を得たことを指す。

(出所:Wikipediaより)

『社会的に一定以上の地位を得たこと』であれば、少々ハードルが高いイメージを持つかもしれません。
 ただ事実として言えることは、ある程度の地位を得た人たちが心理カウンセリングを定期的に受けていたり、精神安定剤の服用、最悪大麻やドラッグ(Drug)などを使用していたりしている、という話を聞くと「成功と言えるのだろうか?」と疑問も残ります。

『計画などがうまくいき目標が達成できたこと』であれば、その目標如何によって誰もが成功することが可能でしょう。(他人が決めたものではなく)自身に合わせて目標を定めれば良いからです

辞書などの意味合いに限らず、成功概念を自ら定義することもあって良いと考えています。

成功とは、真心を込めた真摯な態度で何かをすることである。

ブルース・リー[武道家・俳優]

懸念があるとすれば、
「金持ちになること!」「自由になること!」・・・などのような抽象的な成功概念のまま歩み進めていく場合、時間をムダに過ごすこともあり得るということです。
 また、インターネット上で見受けられるようになった、他人の『成功の法則』?と言われるものを模倣(まね)して『成功しよう!』という短絡的で安易的な成功概念は断片的で、自身の未来に何を残すのか不思議な匂いを漂わせている感があります。
 その他、『成果至上主義』『勝利至上主義』と言われる「(違法行為含めて)どんなことをしても成功する!」というスタイルは、問題が明るみに出た時、最終的に社会から淘汰されていくことも事実です。

「成功したい!」「成長したい!」と、頭の中で思うだけでは何も変わりません。怠けて学習もせず、新たな経験も積まず、他人や自然との接点を拒む行為の選択をすれば、成長も成功も無縁となります。
 逆に「成功したい!」思いのみが強すぎて、過去の経験に囚われ、古い知識に拘り、悪しき伝統を護ることで自己研鑽せず、安易的な選択と行動により、成長も成功も離れていていくこともあります。

自身にとっての「成功」とは何か?
「成功」は必要なのか?
「成功」はどこにあるのか?
「成功」した時の自分はどうなってるのか?
「成功」した時の周囲はどう変化しているのか?

このことを長期的視点で考える必要があります。

成功に至る第一歩は、自分が心で何を望んでいるかを見つけ出すことです。
それがはっきり分からないうちは、何を期待しても駄目でしょう。

イマヌエル・カント[独・哲学者]

成功は、点? 線? 面?

人が人生を歩む過程で結果である「成功」を、点、線、面、立体で表現しようと考えた時、「成功」は “点” で、「成長」が “線、面、立体” というイメージです。

結果である成功は、ひとときの出来事。

時間軸で捉えれば、成長過程の線上の点とも言えます。

成長の過程での成功イメージ
イメージ:成長の過程での成功(線上の点)

しかしそんな単純ではないでしょう。
 同じ成功でも、四苦八苦し試行錯誤しながら得られたことであれば、成長領域が広がる平面の中の点ではないかと感じます。

成長の過程での成功イメージ
イメージ:成長の過程での成功(面の中の点)

曖昧な手書きの地図を見ながら(あるいは地図もなく他人に聞きながら)、迷子になりつつ辿り着いた目的地のようなものです。
 ただ、時間軸、空間軸、自分視点、他者視点などから見て、成長セクションが増加し拡張した立体的空間の中の点かもしれません。

それらの点に辿り着いたとしても、ちょっとした情報の手違いで、自分の思い描いていたところではない可能性もあります。
 未知で不明確、不正確な点(成功)を探し回る人生は疲れてしまいますから、『成功は成長の果実』であることを前提に、成長するための活動・行為をしていくことが、意外に近道かもしれません。ただ、成長のみを求めてもモチベーションが続くか不安もあります。
 基本的に「自己成長」は人生の目的ではありませんから。

成長を成功に結びつける

人は目的やビジョンを目指す(自己実現の)過程で「自己成長」していく傾向があります。その目的やビジョンなどの “志向性・指向性” が中核となり、日々の活動が自分自身の成長を促進させていると考えています。

asis,tobe
イメージ:As is ー To be

マイキャリア・デザイン】のページでも触れましたが、目指す地点が “To be”、現在地点が “As is” です。

この “To be” になるところを「キャリアビジョン(=理想像)」と呼びます。

「マイキャリア・デザイン」とは、人生における両地点を把握した上で、To beにたどり着くための準備と方法などを明瞭にし、具体的な行動スケジュール(プロセス)などを設定していくことです。

※簡単な事例では、
オリンピック選手がメダル獲得を大きな目標(これを “ゴール” 概念とする)とした場合、実際にメダル獲得した時の心理状態、自分自身の変化、他者など周囲の変化、生活の変化、影響・反響などが自分の理想とする状態を言語化したことが「ビジョン」です。選手は競技スキルのみならず、ビジョンに照らし合わせるために言動・思考・精神力・スポンサー関係性・資金集めなど、限られた時間と予算と行動範囲の中で、スケジュールを設定していきます。

ある目的、あるビジョン、あるいは大きな目標(ゴール)があり、そこに向けて進んでいる際に、途中途中に「小さな目標」=マイルストーンがあると思われます。その「小さな目標」はその人にとって未知の体験ゾーンのはずです。

挑戦した結果として「目標達成」=成功というものがあると捉えてみました。

自己実現の過程に自己成長
イメージ:自己実現の過程に自己成長

一つの目標(マイルストーン)を達成するために、色々と試行錯誤することでしょう。失敗となる結果も生じますが、それが最終結果ではなく情報(ネタ)として考えると、それも成長していく要素(=糧)になるわけです。そのような情報も活かし再挑戦して目標達成を目指します。達成したことで、以前とは違う自分自身がいるはずです。

目的に沿った経験の積み重ねによって、徐々にステップアップしていきます。成功は達成したら一旦そこで終わりですが、常に目的や目標を掲げているならば「成長」に終わりはない、ということが言えます。

自らの望む「成長」する姿(ビジョン)があれば、その過程において、一つ一つ「成功=小さな目標の達成」があり、続けていくことでビジョンへ結びつくことになるのです。そのビジョンが果たされたなら、次のビジョンが待ち受けていることでしょう。

ひとときの成功という “果実” をもぎ取っていく(収穫する)ことは、その時点での成長の証であると言えます。その “果実” を自分だけで食べるのか、他者に食べてもらい評価をしてもらうのかは、個人の判断です。“果実” の価値が大きく違うだけのことです。

自分に適した「自己成長術」を発見し身につければ、『ビジョンの実現』という大きな成功への道は整備されていくと考えることができます。

千房の中井政嗣社長
私は自分のことを
「成功者」ではなく「成長者」だと思っている。
前者は成功すれば終わってしまうが、
後者は成長している限り永遠だ。

中井政嗣氏 [千房創業者]

植物の成長

自己成長させるメリット

自己成長というのは、個人的な成長のみではなく、社会的立場での「自己の成長も含まれます。別の言い方で、他者・社会に役に立つ「自己価値の向上と伝えています。

自己成長することは大まかに「知識的・技術的な成長」「精神的な成長」「人間的な成長」です

これらの成長により人には何かしらの変化が生じてきます。例えば、

  • 人間関係が改善されていく
  • 主体的になり、自らの行動に責任をもつことができる
  • 成長していく自分が見えてくる、楽しくなる
  • 自分に自信がついてくる
  • 精神面において余裕がでてくる
  • 自分の存在意義を見つけることができる
  • 会社にも家庭にも居場所が見つかる
  • 大きなストレスを感じなくなる
  • 仕事で成果が出てくる
  • 仕事にやりがいを感じる
  • 独立して、事業を立ち上げることもできる
  • 自分の自由な時間が増えてくる
  • 人生における仲間が増えてくる

などなど。

個人が成長すれば、所属する会社・組織・チーム、あるいは家族も成長していく相乗効果が生じます。上司が成長すれば、部下も影響され、その部署は活気に溢れ成長していくでしょう。事業家・経営者が成長すれば従業員への影響も増し、会社・組織は成長していくでしょう。監督や指導者が成長すれば、選手もチームも成長していくでしょう。親が成長すれば、子どもも成長していくことでしょう。

成長するということは、色々な意味で能力が高まる(向上する)ということです。

自分にとって何を成長させることが良いのか?

個人にとって何を成長させていくのが良いのでしょうか?

成長させるコトとは、現時点での能力、経験、立場・役割、環境などを踏まえると人それぞれの成長させるコトがあるため、具体的に「何々を成長させましょう!」とは、ここでは言えません。個人で探し、決めるのは個人です。
 当方は、個人が決めていく上でのヒントや情報を提供することはできます。

日本人の報酬観は独特です。
「給料や年収」「役職や地位」はもちろんなのですが、これら以外の目に見えない「4つの報酬」を重視している。
 第1に「働きがいのある仕事」
 第2に「職業人としての能力」
 第3が「人間としての成長」
 第4が「良き仲間との出会い」
田坂広志氏 [工学博士・経営学者]

田坂氏の語ることの中には、キャリア・マネジメントする上で多くの重要なヒントを示されています。
 仕事のみならず、人生そのものにおいても自己効力感やモチベーションを保持しながら歩み続けるための「目に見えない報酬」の大切さを語っています。『自ら求めて得るべき報酬』は当然ですが『結果として与えられる報酬』を忘れてはならず、それは他者からであると考えた時に、「社会の中の個人」の成長を含めていく方が多いでしょう。

WHO(世界保健機関)の推奨している主な10種類の『ライフスキル』(下記)も参考になります。

○意思決定 ○問題解決 ○創造的思考 ○批判的思考 ○効果的コミュニケーション
 ○対人関係 ○自己認識 ○共感性 ○情緒対処 ○ストレス対処

(出所:Wikipediaより)

仕事や趣味のスキル・能力なのか、人間関係を良くするためのコミュニケーション能力なのか、素振りや仕草(しぐさ)などの動作なのか、語学力なのか、創造力なのか、人としての魅力なのか‥‥。

いつ、どこで、何を、何のために、どのように、いつまでに、いくらで、誰と、を定めるのは自分自身です。

それでは「自己成長」という観点で、どのように取り組んでいけば良いのでしょうか!?

自分を成長させるキャリア・マネジメント

「キャリアの概念」について>>

人生の中でどのようなキャリアを身につけ、どのように活用していくのか、をマネジメントする能力が必要になります。

この一連を「キャリア・マネジメント」と呼び、人生を終えるまで続きます。

キャリア・マネジメント」とは、ただ能力を増やそうというレベルの話しではなく、個人のライフスタイル、生き方に適した数多く存在する能力をいかに身に付け、いかに強化し、いかに活用し、自己実現をしていくのか‥‥ということをマネジメントすることになります。

「キャリア・マネジメント」について>>

マネジメントを実施していくために事前に行うのが、人生設計と言われる『キャリア・デザイン』です。

「マイキャリア・デザインとは」について>>

成長するタイプや方法などを知ることも大切なことです。別記事にて自己成長するためのタイプをまとめてみました。

「自己成長」とは?その方法とタイプについて>>

人生の成功がどこにあるのかは人それぞれですが、「自己成長」は今の段階で取り組むことができる万人の共通事項です。何も取り組まず成長を止めた時点で衰退へと滑り落ちるのは、予想できるのではないでしょうか。

成功は約束されていないが、成長は約束されている

自己成長は誰でもできます。場所も時間も関係なく、成長スピードも関係なく、自らの方法とタイミングでOKです。
 このことを意識せずに常に成長し続けている人には当たり前のことですが、行動できない人も存在しています。本気になれないのは本気になれない事情があるからでしょう。それでも、いつか始動しなければ何も変わりません。

一日一日、一歩一歩、一つ一つ、何かしら行動していきます。「お試し行動」「お試し決断」などの「お試し」でも良いと考えています。その流れとして、次の5ステップを意識してみてはいかがでしょうか。

inspiring_flow,プロセス

「その気から本気になる簡単な5ステップ」について>>

是非一緒に成長していきましょう!