MMマーケティング・ミックス)は、マーケット市場、つまりターゲティング対象にしたお客様に望ましいな反応(行動)をしてもらうため、具体的な複数のプロセス要素をバランスよく組み合わせ、より明確かつ戦略的に立案、実行可能段階まで計画するものです。
 現代マーケティングの父と言われるフィリップ・コトラー氏の提唱しているマーケティングプロセスのフレームワーク『R−STP−MM』の一つです。

前回「R-STP-MMを理解する」の続編です。
 MM=マーケティング・ミックスについて、共有していきます。

マーケティング・ミックス4p4c7p

MM(マーケティング・ミックス)

マーケティングにおける戦略戦術(活動施策)である重要なプロセスです。

マーケティング・ミックスの主要は、

4P」(供給側視点の戦略)および

4C」(需要側視点の戦略)になります。

シンプルなフレームワークとして多くの方が活用しています。

マーケティング・ミックス「4P

参考

4P」の提唱者は、
 エドモンド・ジェローム・マッカーシー氏(Edmund Jerome McCarthy)。

米国のマーケティング学者で、1960年に提唱しています。未だに使われている重要なプロセスと言えます。

コトラー氏の著書によると、この「4P」の基となったのは、実はリチャード・クルウェット氏(ノースウェスタン大学経営大学院教授)の「3P1D」であるとされています。「D」はDistribution(流通)であり、後にマッカーシーが、流通を場所(Place)に替え、「4P」を型作りました。
 友人であるコトラー氏は、彼の「4P」を取り入れ、R−STP−MMを実践の場で活用していったということです。

マーケティング・ミックス4p戦略,製品戦略,価格戦略,販促戦略,流通戦略

Product(商品・サービス)=製品戦略

種類、品質、特徴、デザイン、製品名、パッケージ、サイズ、サービス、保証等
※顧客の求めているモノ・コトは何か?
※顧客は何を解決したいのか?
※どんな体験・感覚を味わうことができるのか?
※他(製品)との違いは何か?

Price(価格・プライシング)=価格戦略

希望価格、値引き、流通への割引、支払期限、支払い方法等
※プロダクトの価値と価格のバランスは?
※コストと収益のバランスは?
※どのように価格を決定していくのか?他社との比較?
※参入タイミングと価格決定(割引きなど)は?

Place(流通・チャネル)=流通戦略

販路、網羅範囲、立地、在庫、配送等
※顧客は製品をどこで入手できるのか?
※どのような経路で渡すことが出来るのか?
※業者との折衝、サプライヤーとの関係は?
※商圏(販売領域)はどうするのか?
※返品等はどうするのか?

Promotion(販促・プロモーション)=販促戦略

セールスプロモーション、営業、広告宣伝、ダイレクト・マーケティング等
※顧客に知ってもらうための手段は何か?
※どのようにメッセージ(宣伝)するのか?
※宣伝する時期、時間などのタイミングは?
※コストはどのくらいかけられる(準備できる)のか?

さらに、サービス系業界ではこの「4P」に次の「3P」を加え、「7P」になります。

プラス「3P※サービス・マーケティング

マーケティング・ミックス7p,サービス3p,パーソナル,プロセス,フィジカル
Personal(従業員・関係者・協力会社等)
従業員・関係者・協力者(会社)等を含めたサービスの質
関係者の管理・教育(スキル・能力開発)、従業員満足度等
関係者へのリサーチ、意見等を確認する必要もある
現場の声として改善や改革を行なうための要素
Process(業務プロセス・販売プロセス)
顧客管理システムやカスタマーセンター等
プロセスの簡易化、明瞭化など
Physical Evidence(物的証拠、安心・安全保障)
顧客に見えないものへの不安を払拭するために可視化する
証明書、画像・動画、文書化、契約書など

マーケティングミックスはフレームワークの一つです。実践する上で、順番は特に気にする必要はありません。
 考えなければならないのは、それぞれの「バランス」「一貫性」「相乗効果」。それらを踏まえ、マネジメントする必要はあります。

企業の場合、複数の部署でこれらを計画していくことになりますから、バランスと一貫性がなければ、どんなに良いプロダクトだとしても、ターゲットに受け入れられることはないでしょう。
 また、どんなにバランスが良くても、最高のパフォーマンスができなければ、相乗効果は生まれません。

「MM=マーケティング・ミックス」の「4P」は全体的なものではなく、業態・事情等を踏まえ、効果的か適切かどうかを勘案しながら活用していくことになります。

◇「4P」に対する「4C」を忘れてはいけない

マーケティングミックスの「4P」は、供給側、いわゆる売り手側の視点であると考えられているため、需要側、いわゆる買い手側の視点で考えていくフレームワークとして「4C」が提唱されました。

マーケティング・ミックス「4C

参考

4C」の提唱者
 ロバート・ローターボ-ン氏(Robert F.Lauterborn)。

1993年に提唱されています。

彼の提唱している「IMC(インテグレート・マーケティング・コミュニケーション)」に関する要素として「4C」があります。

マーケティング・ミックス4c戦略,顧客価値,顧客コスト,利便性,コミュニケーション

Customer_value(顧客価値) ← Product(商品・サービス)

Cost(顧客コスト)← Price(価格・プライシング)

Communication(コミュニケーション)← Promotion(販促)

Convenience(利便性)← Place(流通・チャネル)

Customer_value(顧客価値)

Customer solution(顧客ソリューション)、顧客のニーズ・ウォンツ
顧客の問題・課題をどのように解決するか、満足してくれるか等
消費行動する動機やライフスタイルなど
※ニーズ・ウォンツを充たす、その他(代替)の価値とは何か、等

Cost(顧客コスト)

価値に対して顧客が支払う金額
決断(消費行動)するまでの時間や移動などのトータルコスト等

Communication(コミュニケーション)

顧客リレーションシップ(関係性の構築)
プロモーションする方法、アフターサービスする手段など
コミュニティの構築等

Convenience(利便性)

顧客にとって流通チャネル、販売チャネルは便利か
※提供する方法は?フォロー体制は?
※営業時間や連絡時間等

「4P」と「4C」の関係性

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「4P」は、プロダクトアウト的であり、
 「4C」は、マーケットイン的であると言えます。

「プロダクトアウト、マーケットイン」については別ページ>>

「4C」は顧客目線であるため、「4P」は時代遅れであるとも言われていますが、実際には「4P」自体も包括的なプロセスである、と考えることができます。

「4C」を重点にしている企業が増えているのも事実ですが、そもそも「4P」と「4C」を別々に考えることは非合理的であり、供給側と需要(顧客)側が相対関係である以上、「4P」と「4C」は同時期に勘案することが必須であると考えています。

コトラー氏の共生マーケティング

それを総合的かつ包括的に、この時代にあったフレームワークとして、コトラー氏が提唱する恊働(共生)マーケティングがあります。
(※「マーケティング3.0」参照)

 

共生(供給側と需要側双方)マーケティング、又はコ・マーケティング視点での「4C」の概念は、ロバート・ローターボ-ン氏提唱した時よりさらに20年前(1972年)、早稲田大学商学研究科の修士論文に登場(提唱者:清水公一教授)しています。

その「4C」が、コトラー氏の「マーケティング3.0」に相当するとされているようです。

共生マーケティング・ミックス「4C」

共生マーケティング・ミックス4c戦略,価値共創商品,総合コスト,流通経路,コミュニケーション

Commodity(商品・価値共創商品)

売り手(供給側)と買い手(需要側・消費者)が共に創り上げる商品
「共に便利なもの」「共に幸せになるもの」という意
Co・creation的商品
最初からコモディティ(価値共創商品)を作る戦略

Cost(総合的コスト)

原義はconstare=「共に立ち上がって犠牲を払う」の意
商品の価格(値段)や生産・販売コストだけでなく、社会的コスト・環境的コスト等も含めた総合的なコスト

Channel(流通経路)

原義はcanalis=「運河」の意
簡単、明瞭、低コストの商品の流れが重要
リアルおよびネットとの融合等

Communication(コミュニケーション)

「共に意味を持つ」という意
広告、販売促進、PR、パブリシティ、CI、人的販売、
インターナル・コミュニケーション、バイラル・口コミ、MIS等
売り手側のプロモーションのカテゴリーだけではない

さらに、上記の「共生マーケティング・ミックス」(マーケティング3.0相当)のフレームワークとして提唱されているのが、従来の「7P」に対した

7Cs Compass Model 』です。

このナナシー・コンパスモデルについては、別ページで説明します。

7Cs Compass Medelについてはコチラ>>