モチベーションアップにつながる自己効力感の3特徴

モチベーションアップ、つまり「やる気を促す」には、外発的動機付け内発的動機付けがあります。
 継続的な観点では、内発的動機付けによるモチベーション制御が重要であり、その主になるのが「自己効力感」です。報酬がなくても自発的に「やる気を促す」ことが可能です。
 その特徴が三つ、「有能感」「自己決定感」「対人交流」(デシ提唱)です。

モチベーション制御自己効力感

自己効力感の三つの特徴

「有能感」

「有能感」とは、「やればできる!」感覚または意識です。

行動することで目標達成、目的成就などの成果に対する貢献度、達成度、満足感を得ることが予測できるために、『よっしゃ~、やるぞ~!』とやる気を促すことが可能になります。
 予測またはイメージできる点で、これまでの成功体験などに左右されます。

成功体験が少なくても成功イメージをもとに戦略・戦術を企て、予測できるリスク対策など準備を万全に行なうことで、「私ならできる!」「俺ならいける!」という有能感を持つことは可能です。

失敗に対する不安があったとしても、達成時の喜びや充実感を味わいたい気持ちが強く、モチベーションを維持し、努力や挑戦を続けていくことができます。

有能感にもタイプがあります。

「他者よりも自分はできる」
 「失敗は他者の責任で、成功は自分の力である」

など、他者を軽視・批判した上で有能さを自己アピールするタイプは、人間関係を疎かにしてしまう傾向があるため、改善が求められます。

その逆のタイプで、他者を敬い立てることはできても自分自身にはそれほど自信のないタイプです。

自尊心が低い人は、時に自己卑下するほど劣等感が強い傾向があり、こちらも改善が必要です。

他者を尊重し、自尊心があるタイプは、バランスがよく、質の高い有能感の持ち主です。自己(パーソナル)と他者(ソーシャル)に対するケイパビリティ(能力)が高いと言えます。

「自己決定感」

「自己決定感」は、自己意志によって「決断と実行」ができる

つまり責任と権限がある状態です。

自己管理と自己制御によって物事を決定している感覚を得られます。能動的に決断し、自律的かつ主体的に実行できることで「やる気」をもって物事に臨むことができます。

「自分のことは自分で決めたい」という欲求が人にはあるため、それを満たすことが「自己決定感」につながります。

しかし、会社組織の中の個人では、そのような場面は少ないと思われることでしょう。

会社・上司の決定によることが殆どのはず。
 他者の決定事項や命令・指示による依存的行動では「やらされ感」が強くなる傾向があります。

例えば、営業職なら上から与えられた目標数値を目指し営業活動することになるでしょう。
「自己決定感」からほど遠く、やる気が起こせない人も多いはずです。
 そんな場合でも、捉え方次第で気持ちを変えることができます。

他者決定の命令・指示であっても、その物事の背景、理由、必要性などを理解し、目的・目標達成後のイメージを膨らませ、そこまでの具体的なプロセス、戦略・戦術などを自分自身で模索し、決定し、実行することができれば、「自己決定感」を増すことができます。

リーダー(会社・上司)が決定したビジョン・目的・目標に対し、自己がフォロワーとして積極的に支援できる状態にすることで「やる気を促す」ことができるのです。

他者の意志を自己の意志に転換する “同一化” によるものと言えます。

「自己決定感」を増すことは、“自律性” を確立することにつながります。

他律(他者の決定事項)の中で自律性を確立することは、自尊心を養うことにもなるのです。

「対人交流」

「対人交流」は、他者との関係性に基づくものです。

承認欲求にも関連しています。

交流する相手の重要度(関係度)が大きなポイントとなりますが、重要な相手からの受容感を得る、つまり信頼されていることの喜び、目的感を与えられることの楽しみ、などの感覚が生じることで、「やりがいを感じる」ことができます。

この「対人交流」は、ただの人間関係による交流ではなく、相互の信頼関係がベースにあると言えます。上司と部下、親子、友人などの関係においても、互いを理解し合い、尊重し、認め合う関係でなくてはなりません。

一方的な主従関係は交流ではありません。
 上司が部下へ、親が子へ、先輩が後輩へ、決定権や選択権あるいは行動に対する責任感などを信じて与えることができれば、「やる気」をもたらすことができるでしょう。
 その際失敗しても、フォローやアドバイスができる環境を上司・先輩や親が準備し、サポートすることで、より「やる気を促す」効果はアップします。

そのような重要度の高い相手との「対人交流」がポイントということです。

ここには、リーダー的人物のフォロワシップ力、フォロワー的人物のリーダーシップ力が不可欠となります。

つまり、リーダー的人物にはサーバント・リーダーシップ(支援型リーダーシップ)のキャリアが必要であり、フォロワー的人物には、自律性・主体性・能動性などの性質と、目的成就・目標達成に至るキャリアを備え持つ必要があります。

相互共に「パーソナル・ケイパビリティ」を強化する必要があると言えます。これら3つの特徴を理解することで、自己コントロールしながらモチベーションを制御することにつながっていきます。

<<その他の「プロトコルキー」リスト