「フロー理論」〜非日常が成長する要素に
あなたがこれまで過ごしてきた膨大な時間の中で我を忘れ、時間を忘れる程に没頭(集中)したことがありますか?
「時が経つのを忘れるくらい・・・」とか、「我に返ると・・・」という表現がマッチする場面です。
※夢遊病とかそういう意味ではありませんよ(笑)
「忘我の境地」と言われており、何かに夢中になり、自分という存在も含め周囲を意識から消し去り、興味・関心ある事柄に対してのみに意識や心が傾けられた状態です。
このことを理論的に打ち出したのが、ミハイ・チクセントミハイ博士の「フロー理論」です。
「フロー理論とは」(出典:フロー・インスティテュートより)
人間がフロー(Flow)という経験を通してより複雑な能力や技能を持った人間へと成長していく過程を理論化した「人間発達のモデル」であり、「モチベーションの理論」である。
意図的に「フロー状態(忘我の境地)」にすることができるとされています。(8つの特徴があること。後ほど)
前提にあるのが、その対象となる事柄が「楽しいこと」であることです。
勘違いしてはいけないことが、毎日ゲームやテレビばかり見ていたり、毎日パチンコ等にハマっていて・・・というのは、フロー状態というより、依存症的なことです。
しかし、新しいゲームに挑戦している忘我の境地もフロー状態であると言う方もいます。
フロー状態(上図)を作り出すためには、自らの現段階のスキルより少し高めのスキルを必要とする事柄にチャレンジすることで、フローの境地に至りやすいとしています。
スキルを高めることで目標を達成させると、さらに次の上の段階へとチャレンジしていくのです。
「フロー理論」が人間発達のモデルとしているのはココにあります。
イノベーターやクリエイター、アスリートと言われる人たちは、そのようなフロー状態を作り出すことができます。
普通の私たちでさえも可能です。
例えば、大好きな読書、大好きな映画視聴、大好きなプラモデル、大好きな音楽・演奏・・・など、大好きなことに取り組んだ時、食事も忘れ、時間も忘れ、我を忘れるほどに 集中した時がそうです。
そのフロー状態を体験すると、またその状態に臨みたくなるのです。
しかし問題は、先ほどの図にもあったように、スキルを向上させようとはせず、チャレンジもしない人がいるということです。
チャレンジをしようと思ってもスキルがないために不安になる、スキルはあってもチャレンジ精神がないために退屈になる、そしてスキルもチャレンジ精神も低いと無関心の状態だということです。
そのような人が、その状態のままでいることを避けるために、日常的な生活の中で、意図的に非日常な場面を作り出すのです。
人が楽しむために、日常生活からかけ離れた空間を求めるのは、そのような願望を持っているからです。
ディズニーランドなどに言ったり、映画館やコンサートに言ったり、ホストやホステスのいるお店に行ったり・・・するわけです。
非日常の空間があるが故に、人は日常のストレスや苦難などから一時解放され、また「頑張ろう」という意識を持つことで日常の空間で頑張ることができるのです。
ただし、前記した非日常の場面を作り出すというのは、遊ぶための非日常的空間のことではなく(それもあっていいのですが)
自分の成長に繋がるような非日常の場面を、数多く作り出すということを言いたいのです。
その中で、「フロー状態」になりそうな事柄が見つかればラッキーです。
その非日常の場面における「フロー状態」は、成長し得る重要な要素を持っています。
ここで、「フロー状態の8つの特徴」を見てみましょう。
- 達成できる見通しのある課題と取り組んでいる時に生じる
- 自分のしていることに集中できている
- 明確な目標がある
- 直接的なフィードバックがある
- 意識から日々の生活の気苦労や欲求不満を取り除く、深いけれども無理のない没入状態
- 自分の行為を統制している感覚をともなう
- 自己についての意識は消失するが、フローの後では自己感覚はより強く現れる
- 時間の経過の感覚が変わる
この8つの特徴を踏まえると、自分にとって、没頭し、そして成長に繋がるものと考えると、やはり好きなことでなければなりません。
そして、やらされることではなく、自らやりたいことである必要があります。
「自分を変えたい!」「自分を変えなければ!」と思っていたとしても、普段と変わらないマンネリした日常生活を送っているようでは、いつまで経っても変わらないのは紛れもない事実です。
そこから抜け出したいのなら、非日常を作り出すこと、触れることです。
それを毎日ではなくても、週1回、月1回でもとにかく継続し、繰り返していくことで、スキルは磨かれ、次にチャレンジしようとする意識が芽生えます。
その行動こそ、成長につながるのです。