「ワーク・ライフバランス」と「ライフワーク」
「ワーク・ライフバランス」と「ライフワーク」についてです。
・共通するのは、「ワーク」と「ライフ」があること。
・相違点は、そもそも視点と概念が違うということ。
簡易的に私釈をお伝えすると、
「ライフワーク」は、ライフ=人生、ワーク=シゴトに関連すること。
「ワーク・ライフバランス」は、ライフ=生活、ワーク=仕事。
図で説明すると、イメージですが・・・
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ワーク・ライフバランス
「ワークライフバランス」という言葉を誤解して、仕事とプライベートを区別するなどの少しズレたことを伝えている人もいますが、区別ではなく「調和」です。
これは、内閣府の「ワーク・ライフ・バランス憲章」でも明らかです。
一人の人の脳や意識が、そんな簡単に区別することはできません。
できるとしたら時間と環境だけです。
それだけのワークライフバランスは、バランスでも何でもありません。
問題は
「調和=バランス」という言葉を強調していることだと感じます。
「調和って何???」って思いませんか?
1日24時間の12時間をワーク、12時間をライフ・・・
1日使う100エネルギーを半々で使う・・・
「調和」って、天秤にかけたり、数値に現したりすることではありませんよね。
官公庁やリクルート系会社も、労働時間や残業時間がどうのこうのと数字で出していますが、それと「調和」は関係ありません。
株式会社ワーク・ライフバランスの小室淑恵社長がおっしゃっているように、「調和」というより「相乗効果」の関係と捉えると分かりやすいです。
※小室淑恵社長をご存じない方は、下記に動画を添付しておきます。
「相乗効果」の関係と言っても、抽象的である以上、具体化するためには、労働時間等が最も改善しやすいフレームだからです。
労働時間を減らすためにタスク改善を図るなど、それはそれで重要なことだと言えます。
「調和」「相乗効果」……よりも「ワークとライフの充実度」というメンタル的な言葉の方が分かりやすいのではないでしょうか。
さて、ここで考えるべきことは、
この「ワーク・ライフバランス」は、個人レベルの課題ではなく、会社・社会と個人との関係、つまりバランスをとるためには、会社・社会の環境整備・体制に深く影響されるということ。
最近、ダイバシティ(多様化)などの横文字が増えてきましたが、つまり「働くスタイル」を増やそう、という動きです。
外国人雇用の導入もその一つです。
ただ、これは会社が労働者に対して、雇用体系の選択肢を増やしただけで、労働者に自由な選択を与えたわけではないんですね。
極論でいうと、
A(1日8時間労働)とB(1日6時間労働)の選択肢が増えても、週労働40時間を個人裁量で働く選択はないということです。
もちろん、雇用されて自由な選択ということは難しいですが、日本の企業に、フレックス制や企業内フリーランス制が根付かないのは、会社が管理するのは、仕事ではなく「労働者である」からです。
(参照:厚労省資料)
仕事の成果を管理(マネジメント)するより、9時から18時(例)まで働く労働者を管理する方が、手っ取り早いのですから。
会社側のマネジメント能力からすると、「ワーク・ライフバランス」を根付かせるのは大変であり、ゆえに「ワーク・ライフバランス」に批判的な経営者・人事関係者の声が多いのは、ある意味、仕方がない部分でもあるので、理解してください。
そこで、
会社・社会の外的要因を受動的に捉えてしまう「ワーク・ライフバランス」を、個人に対してアピールしても、「暖簾に腕押し」という感じになってしまいます。
主体的・能動的な視点として、個人が取り組めるのは、
「ライフワーク」に対する考え方なのです。
ライフワーク
仕事は、自分の「ライフスタイル」に適しているかどうか、ということだを私は考えています。
ここでの「ライフスタイル」というのは、狭義的な生活スタイルのことではなく、人生スタイルの方が該当するのでしょう。
ですから、価値観・性格・願望・環境なども含まれます。
仕事は、それを満たすための一つの手法です。
ということで、
「ワーク・イン・ライフ」という主張が出てきました。
さらに付け加えれば、
仕事とは、会社等で働くことを指すのではなく、家事も育児も介護も、夫婦生活も、近所や学校付き合いも、全てがシゴトと捉えるものです。
私の言う「ライフワーク」は、こちらの主張に類似しています。
理由は、仕事は生活・人生の一部であること、さらに自分の望む仕事であれば、食事の時も睡眠の時も考えることは、普通になるということです。
「メリハリがない」・・・と思われる方もいるでしょうが、どこにフォーカス(注力)しているのか、という指向が行動で示されていればいいことで、全ては連動していると理解してもらえれば、区別する必要はありません。
嫌々な仕事をしているから、ワークライフバランスを強調したいだけであって、志向的なシゴトをしているのなら、強調する必要はありませんから。
つまり、
今おかれている環境の中でのシゴトをどのように捉えるか……ということは、社会・会社の中の自分自身という視点より、自分自身につながる社会・会社という視点から考えると違ったものが視えてくると思いますよ。
一日一つ、何か違った方法をとってみてください。
「小室淑恵さんから学ぼう第3回「日本の働き方改革はなぜ進まない?ワークライフバランスが実践する労働効率化の真髄」」
小室淑恵社長(株式会社ワーク・ライフバランス) by.newme
「小室淑恵氏が語る、予測不能な時代の働き方とウェルビーイング」by.GLOBIS知見録