派遣社員のマイナス的意識からの脱出(後編)
※2015年9月27日の記事のリライトです。
派遣社員であることがデメリットではなく、派遣社員であることを活かせないことがデメリットです。
Table of Contents
(4)「~くれる人」にお金は流れる
「面倒なことをやってくれる人」
「素直にすべきことをしてくれる人」
「大変な時に助けてくれる人」
「分からないことを教えてくれる人」、、、など
「~くれる人」にはお金(お金に限らず、相当以上の価値あるモノ)が流れます。
「~くれる人」と繋がりたいのが、ビジネス社会あるいは人間社会性のボトムと言えます。
ですから、
派遣社員は「~くれる人」を探すことに注力する人ではなく、勤務先で「~くれる人」を探している人を見つけ、理解することです。「~くれる人」になれる派遣社員は大切な存在になっていきます。この“くれる”レベルが高くなればなるほど、派遣社員は貴重視されていくわけです。
前半でのプラス的意識の方はこのことを理解している、あるいはネイティブ的に自身の役割を果たせる方です。「〜くれる人」になるために、いち早く自身のすべき仕事を覚え、次に仕事での成果を勤務先へ返していくことができます。
ただ自我中心の意識にならないよう、常に注意が必要です。自分だけの視点で「~くれる人」になってしまうことで見返りを求めてしまったり、時に「やってやる!」の意識になったりします。
そのようにならないためにも、「誠実さ」は忘れずに。
この「誠実」な「~くれる人」になることで、意識や行動、あるいはメンタル面に変化が表れます。
『彼女(彼)に辞めてもらうと困るので、料金アップするから彼女(彼)のお給料も上げて欲しい』
と、派遣先から派遣会社に(指示はできないから)お願いするケースもあります。
知っている事例で、インポートブランドショップ(バッグ・靴・小物など)で勤務する女性派遣社員(実働7時間30分)の日給が4万円以上でした。
給与が全てではありませんが、“スーパー派遣社員”、“フリーエージェント的派遣社員”としての成果だと言えます。
彼女・彼たちのような方の意識や言動を備えることは、ただ指示されたことを嫌々こなす雇われ労働者としてではなく、会社、社会の役に立てることを見出だす能力、価値を見出だすキャリアの持ち主、になれる可能性を秘めていると考えても良さそうです。
このような意識や言動は、派遣会社に対しても役に立ちます。
(5)派遣会社に重宝される人
派遣会社には、数多くの会社、多くのタイプの会社があります。会社のカラーと言っても良いのでしょう。
会社の規模は関係なく、経営者の志向、ビジョンなどに反映されます。それと並行して、会社の各拠点(支店・営業所)の地域性や市場性なども影響し、さらに拠点の責任者の性格や能力、部下指導スキルによっても多少変わってくるところがあります。
会社のカラー(タイプ)は、多くの人たちが派遣会社を選択する一つの因子にもなります。
派遣会社は、派遣社員が働いてくれることで、会社・事業が成り立ちます。
その派遣社員を普段から直接的に面倒みてくれるのは、派遣会社の担当者や直属営業所の社員です。担当者が営業職も兼ねて派遣社員の管理担当をする場合と、営業と管理の役割を分けて担当者(労務管理、人材コーディネーターなど)が決まっている場合があります。
つまり派遣社員にとって、派遣会社の直接関わる人たちとの関係性は、派遣ライフをする上で不可欠です。
少し話しがずれますが、担当者が短いスパンで変わる派遣会社は要注意です。また担当者が新人、あるいは無責任なタイプでパイプ(人脈作り)を太くできない状況なら、その上司、営業所責任者とパイプを太くしていきます。
(ただし、異性同士の場合の距離感は保ってください。良いことはありません)
意識レベルが低かったり経験が浅く知識が乏しかったりする担当者の場合、派遣社員が成長できない傾向も時には見受けられます。
マイナスタイプの派遣社員、「楽な仕事を紹介してくれればいい」で終わってしまい、派遣会社の担当者がマイナスタイプですと、「派遣社員は休まず真面目に働いてくれればいい」と願うのみです。
派遣社員からすると、派遣会社は仕事を紹介して「くれる人・会社」であり、働いた分の給料を振り込んで「くれる人・会社」です。
派遣会社側からすると、派遣社員は、派遣先の指示を受けて仕事をして「くれる人」であり、会社の売上をつくって「くれる人」です。
トラブルを起こす派遣社員、欠勤などが多い派遣社員は、仕事をして「くれる人」、売上をつくって「くれる人」ではなくなります。
クライアントへ謝罪するなどの余計な仕事をもたらす(時間と費用を奪う)人、振り回す(効率を悪くする)人、会社のイメージを悪化させる人・・・つまり、赤字(マイナス売上)をつくり出す人のため、最悪「次回、更新しません!」となってしまいます。
そのようにならないためにも、派遣会社からも重宝される人になることを意識すると良いでしょう。
派遣会社にとって重要な「くれる人」は、真面目に働いて「くれる人」だけではありませんから‥‥。
実は、派遣先の仕事をこなしながら、情報を引き寄せて「くれる人(派遣社員)」を重宝します。
情報を提供して「くれる人」
情報を提供して「くれる人(派遣社員)」とはどんな人で、どんな情報のことでしょう?
※勿論、個人情報や機密情報を漏洩するような行為はNGです(笑)
簡単に言えば、派遣会社にとって必要な情報です。それも、ライバル会社(同業他社)よりも先に情報入手することが有利になりますから、それに関する情報と捉えてください。
派遣会社の担当者によっては、派遣先企業(クライアント)との関係性が薄っぺらく、ご用聞き程度になっている方も数多くいます。あまりクライアントの会社に来ない人もいます。(来られない場合もあります)つまり、クライアントの活動情報を持ち合わせていない人です。
派遣会社は売り上げを作るために、派遣社員を増員したいと思っており、そのために日々営業をしています。
新規でクライアントと取引を始めることは容易ではありません。それよりも、すでに取引しているクライアントとの売上を増やす方が効率的です。派遣社員を1名から2名、2名から3名・・・です。
ただクライアントのそのような情報というのは、クライアント側から教えてもらわない限り状況は分からないものです。
信頼関係が構築できている派遣担当者には教え、できていない担当者には教えない、というクライアントも存在します。意識的・無意識的に、派遣会社の優先順位(ランク付)を決めているクライアントが多いからです。
つまり、担当者よりもクライアントと物理的に近い立場にいる派遣社員の情報は、強力と言えます。
派遣社員を増やすことのできるような情報、売上をできる限り減らさないための情報などを、派遣会社の担当や責任者に提供することは、相当嬉しいものです。
例えば、
- 他の派遣会社のスタッフが辞める情報
- 忙しくなり増員体制になる情報(逆に減員の情報も大切)
- 自社の派遣社員が悩み辞めそうな情報
- クライアントの人事発令で関係ある情報(指揮命令者の変更など)
- 派遣社員で対応可能な業務(作業)の情報
‥‥などです。
担当者へ提供する情報の中には、あまり確実な情報でないモノもありますが、「こんな噂がありますよ」程度でもいいでしょう。
また、細かい情報をいちいち担当者へ流出させることは好ましくありません。担当者の口が軽く、クライアントとの会話で(なぜそんな情報まで知ってるんだ!?)とクライアント側に怪しまれないようにすることも念頭におきます。
派遣社員もクライアントとの関係を良好にしておくことは必須条件です。
誰かが辞める、増員になるなどのすでに社内で公表されている情報なら、口外無用(機密事項)でない限り、担当者に話ししても問題ないと思いますが‥‥。
情報が活かされるかどうかは派遣会社の担当レベルによりますが、それでも派遣会社にとって、働いて「くれる人(派遣社員)」を超えて、派遣会社に協力をして「くれる人(派遣社員)」となります。
情報を活かして「くれる人」
先ほどの情報を提供して「くれる人(派遣社員)」よりもさらに、情報を活かして「くれる人(派遣社員)」は重宝されます。
『派遣社員の増員をお考えのようです。〇〇さんが打ち合わせしたいので連絡が欲しいと申しています』
クライアントで就業中の派遣社員から、派遣会社の担当者への連絡(実話)です。
派遣社員に営業させているわけではなく、職場での会話の流れで『うち(派遣会社)の担当者に確認してみましょうか?』の一言がキッカケです。
クライアントから派遣会社へ依頼することが通常フローですが、派遣社員自らがクライアントの伝言役を引き受けたカタチになりました。
取引しているクライアントだけではありません。
好評な派遣社員と知り合った、別会社の責任者が『派遣社員が欲しいので連絡が欲しい』という伝言を担当者へ報告し、商談のキッカケを作って「くれる人(派遣社員)」もいました。
当然、派遣会社や担当者の評判も影響しますが、派遣社員が派遣会社の担当者をリスペクトし、派遣会社に属していることに誇りを持ち、派遣会社の評価へと繋げてくれるパターンです。
担当者よりも先に仕入れた情報を活かして「くれる人(派遣社員)」は、心強い仲間です。派遣会社から重宝されるのは当然と言えるでしょう。
小さくても自身のできることをやっているだけで、派遣社員の中でも特別な扱いになる可能性はあります。例えば、給料が高くなる、とか・・・。
ただし、見返りを求めてはいけません。稀に傲慢になってしまう派遣社員もいます。
「あんたらのために、これだけのことをやってるのよ!」、と‥‥。どんなに仕事ができる人でも、「やってあげている」みたいな意識の持ち主など、品性を欠くような言動で信頼関係は崩れ、後々トラブルを引き寄せてしまいます。
どちらかと言えば、給料で求めるのではなく、人脈を作っておくため、あるいは知識や情報を増やし、どの情報が活かせるか、活かせないかを判断・分析できるスキルを高めることにフォーカスした方がいいでしょう。
必要としてくれる存在
信頼ある派遣社員には、クライアントなどから情報が舞い込んできます。引き寄せていると言っても過言ではありません。
休憩中の会話内容であっても勤務中であっても、自身の立場などを理解した上で、仕入れた情報を活かし、クライアントと派遣会社を結び付けてくれる人は、元々発想が外向きであると感じます。
クライアントからも派遣会社からも重宝されるような派遣社員というのは、マイナス的意識タイプにはできない思考を持ち合わせ、誰かの役に立つことを意識しているのでしょう。
プラス的意識タイプの要素は、いかに情報を収集し、誰が情報を欲しがっており、その情報がどのように活かされるか、に関心を抱いていること。
今の時代、情報収集力と情報活用力はポイントになる能力だと言えます。
派遣社員だからこそできることを把握(分析)し、業務(経験)ができるクライアントが増えれば増えるほど、その情報活用範囲(実績)は広がりますので、“スーパー派遣社員”、“フリーエージェント的派遣社員”としては、大切な能力・スキルになることは間違いありません。
相手側にとって「~くれる人」は、“必要な存在”になると言えます。
情報収集力や情報活用力以外の業務遂行力なども含めて、総合的に“必要な存在”、つまり存在意義を見出す個人の努力は不可欠です。
存在意義を見出だす方法の一つとして、自身の価値を知ることがポイントになってきます。
(6)自己価値とセルフコーチング
東京のブランドショップで働く派遣社員が、日給4万円以上(他派遣社員の約3倍以上)で働けるのは、それだけ「私」の価値を創造させた努力の成果であり、ブランドショップ(クライアント)側からすると一日4万円以上支払っても、その派遣社員には、是非働いて欲しい「価値ある存在」だったことになります。
「自己価値を活かした自分が、価値を産み出した」わけです。
プラス的意識タイプの派遣社員は、自らの今の価値を知り、磨き、そして活かします。その方法を習得します。
先ず理解して欲しいのは、この世の中は、「価値と価値の交換システム」だということ。
「価値」を疎かにしたことで起こったトラブル例
先ずは、商品や企業の「価値」という点で、事例を上げてみます。
2014年ごろ、某国工場での賞味期限切れ肉やカビ付き肉のナゲット製造が発覚(映像流出)、さらにビニール片や虫などの異物混入があちこちで問題視され、連日マスメディの餌食となったため、客足は遠のき売上が一気に落ちました。該当する世界的に有名なファストフードの会社は、赤字へ転落したのです。
“美味しい”“安い”“早い”だけが「価値」ではなく、“安心”や“信用”なども「価値」に含まれます。これが市場(供給者と需要者)の原理です。
つまり「供給者(ファストフード店のサービス)の価値」と「需要者(消費者)の価値」の交換が減少した結果ということになります。
最近のかんぽ生命・ゆうちょ銀行での不祥事やレオパレス21の建築基準法違反なども同様で、消費者視点の価値を疎かにし、利益という価値を追求した結果によるものと言えます。
次に、人の「価値」という点での事例です。
ある大手有名スポーツブランドの店員さんが、来店した顧客の悪口をツイッター(SNS)で呟いた出来事(事件)がありました。消費者は怒り、マスコミもニュースで取り上げたほどです。社長が謝罪。本人は解雇。全国の店長さんたちは緊急会議?に招集、教育徹底のお達しが出されました。企業規模が大きいため売上に支障が出たかどうかは不明ですが、問題はこの事件を起こしてしまった本人(元店員)の名前と写真はネット上にて残っているらしく、大変な思いをしていると思われます。
この元店員さんの行為の「価値」は、それ相応のダメージと交換することになりました。
価値の上位概念
良いモノだけにお金を払う時代ではなくなり(品質や機能が良いのは当たり前ということ)、現在は「~くれる人」「~くれるコト」にお金を支払うご時世です。
例えで言うと、「満足感や幸福感などを与えてくれる人・コト」にお金を支払うのであって、商品・サービスの内容は、二の次です。
商品・サービスがどんなに優れていても、提供する人や会社から不快さを感じただけでお金(価値)を払うのをやめ、他者・他社へと流れが変わります。
つまり「価値」は商品やお金そのものというより、人の感情・情緒・思考・想いなどを加味したものであり、流動的なものです。
人または会社の姿勢、言動、思いなどが「価値」に大きく影響を及ぼすことは揺るぎない事実です。
これは「私の価値」に当てはめても同じことが言えます。
商品・サービスの価値の核にあるのは、「私」そのものの価値です。
“労働(労力)”というサービスに対してお金(給料=価値)が支払われるなら、「私の価値」にある核は「価値と価値の交換」を増減させる要因となります。
労働というサービスよりも上位概念(上座)である「私」の存在を、どうすれば良いのか?
・・・ということを日々考える必要がありそうです。セルフコーチングの基本なのでしょう。
ベストな「私」の状態
派遣社員でクライアント(派遣先)で勤務することは、どんな意味があるのか?
もしも派遣社員がいい加減で、真剣に仕事をしないのなら、クライアントは派遣会社の担当者へクレームを言い、改善が見られないならその派遣社員を別の方に入れ替える依頼をすることができます。最悪、その派遣会社との取引もなくなります。
マイナス的意識タイプの派遣社員の場合、「私」のベストを優先します。
周囲に関係なく、今の「私」を出すタイプです。「私」の気分、「私」の意見、「私」の出したい力‥‥そこには、他者や顧客の評価など気にしないタイプです。あるいは気にしているのに、改善・改心しない人です。
これが「私らしさ!」、と誤解をしている人がいますが、マイナス的意識タイプです。
プラス的意識タイプの派遣社員の場合、その環境に必要なベストな「私」を目指し、ベストの「私」を主体にして活動していきます。適応能力を備えていると言えます。
「私」の価値創造
「価値と価値の交換」が色々なところで実施され、世の中は動いています。
レストランで外食すれば、その食事したモノの価値に対して、代金(お金)=価値を支払います。
この時、代金の額より食事したモノの価値が高ければ、人は満足します。逆に、代金の額より食事の価値が低ければ、不満になり、損をした気分になります。コスパ(コストパフォーマンス)と言われる概念です。
ここに「価値と価値の交換」のバランスがあるわけです。
”労働”というサービスも同じです。
雇用されて働くにしても、期待される価値に対して、あるいは時間に対する価値として、報酬(お給料)=価値をもらいます。
この時、期待に適する報酬(お給料)より働いてもらったことでの成果が予想以上だった場合、経営者は満足し、高評価を抱きます。能力やスキルが必要なシゴトなら、報酬はさらに高くなる可能性を秘めています。
逆に、報酬の割にはシゴトの質が悪いと、文句を言われたり、報酬を下げられたり、派遣社員であれば、最悪契約終了です。
これも「価値と価値の交換」のバランスによる評価となります。つまり「私の価値」をアップさせることがポイントです。
プラス的意識タイプの派遣社員は、今月の給料を上げることより、将来の給料を上げるため、価値をアップさせることに時間や費用、エネルギーを注ぎます。「価値の創造」を自らが行なっています。
「私の価値」をアップさせるために何をすべきでしょうか?
セルフコーチングは、自らが己に問い、その答えを見出すためのプロセスです。
今の立場を嘆く時間があるのなら、その時間を将来のために使うことを考えてみてはいかかでしょうか!?
● 派遣労働者として活躍したい!
● 目標やビジョンが見つからない!
● 意識転換(マインドチェンジ)したい!
● 派遣でいいのか、悩んでいる!
そんなご相談を受け付けています。実践的なアドバイスが可能です。